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日立が米グローバルロジック買収へ、約9180億円で-株価は反落

更新日時
  • 買収先の顧客基盤を活用し、ルマーダの世界展開を強化へ
  • 買収は手元資金約2000億円、約8000億円を借り入れと社債で-CFO

日立製作所は31日、米システム開発会社のグローバルロジックを85億ドル(約9180億円)で買収すると発表した。同社にとって、2020年のスイス重電大手ABBの送配電事業の買収を上回る過去最大規模の案件となる。

  

Hitachi Ltd. President Toshiaki Higashihara News Conference As The Company Will Halt Work On U.K. Nuclear Project

日立のロゴ

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  発表によると、既存の株主から全株式を取得し日立米国子会社の日立グローバルデジタルホールディングスの傘下に置く。規制当局の承認などを前提に7月末までに買収を完了する予定だという。

  グローバルロジックのウェブサイトによると、同社は2000年に創立。世界14カ国で2万人超の従業員を抱えており、パナソニックやスウェーデンのボルボなど400社超の顧客を持つ。日立は買収を通じてグローバルロジックの顧客基盤を獲得し、中核事業として進めているIoTプラットフォーム「ルマーダ」のグローバル展開強化を狙う。

  同社の東原敏昭社長兼最高経営責任者(CEO)は同日のオンライン会見で、1兆円規模の大型買収のため時間をかけて慎重に検討を進め、「成長していけるという決断のもとに今回の買収を決めた」と語った。その上で、「当初の計画通りに成長、あるいはそれ以上に成長していくのであれば、私はこの1兆円規模の買収は成功すると確信をしている」とした。

エグジットプランも

  IT分野は成長が期待されているもののさまざまなリスクもあることから、買収後はグローバルロジックの事業を定期的にモニタリングしていくとし、「一朝何かがあったときにはいろんなエグジットプランも考えている」と明かした。

  グローバルロジックの株式は、カナダ年金制度投資委員会(CPPIB)とスイス拠点の投資ファンド、パートナーズ・グループがそれぞれ約45%ずつ、残り約10%を同社の経営陣などが保有している。

  買収については日本経済新聞電子版が先に報じていた。報道を受けて31日の日立の株価終値は前日比7.3%安の5004円と、終値ベースで昨年3月9日(8.4%)以降で最大の下落率となった。

  日立はインフラやルマーダとの親和性が高いIT分野に経営資源を集中させるグループの再編を進めており、20年にはABBから約7400億円で送配電事業を買収した。一方で、非中核事業の売却を進めており、20年に子会社だった日立化成の全株式を約9641億円で昭和電工に売却したほか、日立金属の売却も進めている。

  発表資料によると、グローバルロジックの企業価値に対する21年の調整後EBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)予想の倍率は約37倍。東原氏はIT業界では「EBITDA倍率が30ー40倍というのはだいたい妥当な線」との見方を示した。

  グローバルロジックの有利子負債の返済分を含めた買収総額は96億ドルになる。買収による日立の22年3月期の業績への影響については、確定次第速やかに明らかにするとしている。

借り入れや社債中心に

  会見に同席した河村芳彦最高財務責任者(CFO)によると、買収資金は手元資金の約2000億円のほか、残りの約8000億円を銀行からの借り入れと社債発行で賄う予定。資産入れ替えなどにより、買収で発生する負債を1年後には約3000億円まで減少させることを見込んでいるという。

  ブルームバーグ・インテリジェンスの北浦岳志シニアアナリストは、ルマーダ関連事業に注力する中で事業の買収も検討するという話はこれまでに出ており、「大きなサプライズはない」との見解を示した。

  その上で、巨額の買収額について「日立金属売却の話もあるため、全体の子会社整理の中で新たなルマーダという成長戦略を掲げるところに投資するのはそれほど違和感のない話」と述べた。

(会見での発言を追加して記事を更新します)
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