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野村HDが異例の社債発行中止、起債済みの32.5億ドル-米社損失

更新日時
  • 23日に起債した3本立てドル建て社債、29日に発行予定だった
  • 国内発行体で起債後の発行中止は記憶にないとの声

野村ホールディングスが29日、起債したドル建て社債の発行を取りやめた。すでに条件決定した社債の発行が取り消されるのは珍しい。

Views of Nomura and Daiwa Securities Ahead of Earnings Announcement

野村HDは社債の発行日に発行を中止

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  発行を中止したのは米国時間23日に起債した総額32億5000万ドル(約3600億円)の3本立て債で、29日に発行する予定だった。野村HDは29日朝、米子会社で顧客との取引に起因し多額の損害が生じる可能性のある事象が発生したと発表。これに伴い社債発行をいったん見送り、「業績に与える影響が判明後、適切な開示を行った上で再発行を検討する」と説明した。

  過去にはオーストラリアの建設会社レンドリース・グループが2018年に条件決定した社債の発行を取りやめた例があるものの、数は多くない。

  事情に詳しい関係者によると、今回の損失はタイガー・マネジメントの元トレーダー、ビル・フアン氏のファミリーオフィス、アルケゴス・キャピタル・マネジメントによる取引巻き戻しに関連している。

  一連の発表を受けて野村HDの社債保証コストは29日、大幅に上昇する気配となっている。クレジット・デフォルト・ スワップ(CDS)トレーダーによると、ミッド・スプレッド(ビッドとオファーの中間値)は60ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)前後と、CMAによる前営業日終値(41.61bp)を上回る。東京株式市場で野村HD株は前週末比16%安で取引を終了、過去最大の下落率となった。

  ある起債関係者は、国内発行体による条件決定後の発行中止は記憶にないと言う。その上で、起債から払い込みまでの間に業績にかかわる事象が起きればそれに関する協議が入るものだとし、今回はヘッジファンドの取引という予期できなかったものとみられることもあり、中止はまっとうな判断だろうと、コメントする権限がないとして匿名で述べた。

  大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストは、損失が現時点での試算(約20億ドル)程度にとどまれば、野村HDの格付けや信用力への悪影響は限定的だと指摘した。野村HDの20年4-12月期の純利益は約3085億円。

(第6、7段落に市場関係者のコメントを追加し、株価を更新します)
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