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人権問題には口出すな、中国で商売するのなら-習政権の戦略に変化

  • 中国人セレブはユニクロや独アディダスなどとの契約打ち切る
  • 中国で事業を行う外国企業、いや応なしに地政学的リスクの最前線に

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中国政府は何年にもわたり、欧米と同様に人権を尊重しており、どの国であれ中国の政策を批判する立場にはないと主張してきた。今はそれに同意しないのであれば、外国企業に代償を支払わせるというスタンスだ。

  米国と英国、カナダ、欧州連合(EU)が新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族に対する人権侵害を理由に対中制裁を発動したことを受け、中国では欧米の小売企業に対するボイコットが広がっている。

  スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)が同自治区の強制労働を巡る報道に懸念を表明した数カ月前の発表文を中国共産党の青年組織、共産主義青年団(共青団)がことさら問題視し、不買運動が始まった。

Western Brands Under Pressure In China Over Xinjiang Criticism

H&M店舗(北京)

  中国当局によるボイコット支持で、中国人セレブがユニクロやドイツのアディダス、米ニューバランスとの契約を打ち切ると、安踏体育用品(アンタ・スポーツ・プロダクツ)や浙江森馬服飾など中国勢にとってはチャンスとなった。

  中国のアパレルメーカーは新疆ウイグル自治区で生産される綿を支援する声明を発表。26日夜にはアリババグループの電子商取引プラットフォーム「淘宝(タオバオ)」上で、700万人を超える視聴者が「新疆綿」製品の実況販売を視聴した。

地政学的リスクの最前線

  欧米とアジアの企業は以前から度々、中国でナショナリズムの標的になっていた。だだ、今広がる不買運動が示唆しているのは、米国とその同盟国とのこれまで以上の結束を目の当たりにした習近平政権が進める戦略の変化だ。

  中国共産党は、欧米企業に金銭的コストを負わせるという対応が国内で支持を集め、中国は米国と同等の立場だと示し、人権問題を通じ対中圧力を強めようとするバイデン米大統領の取り組みを頓挫させることにつながると考えているとアナリストらは分析する。

新疆ウイグル自治区を巡る欧米と中国の対立:

  現在は新疆ウイグル自治区が大きな問題となっているが、米アラスカ州で今月開かれた米中外交トップ会談では、中国側は香港やチベット、台湾を含む「内政」だとする問題への「干渉」に関して、習政権には確固たる線引きがあることを明確にした。

  つまり中国で事業を行う外国企業は、いや応なしに地政学的リスクの最前線に立たされ得るということだ。世界中の投資家が環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視する中で、人権問題には口を出すなと北京側から圧力を受ける恐れがある。

  中国政府のアドバイザーで全球化智庫(CCG)を創設した王輝耀氏によれば、欧米の言い分を単に否定するだけの以前のアプローチは今、「弱腰な防衛」と見なされている。新型コロナウイルス封じ込めや絶対的貧困撲滅の取り組み、経済的発展など全てが中国政府を強気にさせていると王氏は言う。

習政権のマントラ

  米ブルッキングズ研究所のライアン・ハス上級研究員は「習政権では好かれるよりも恐れられる方を良しとする『マントラ』が採用されているようだ」と指摘。中国は「やられたらやり返すというメッセージの発信」に躍起だとみる同研究員によれば、こうした一段と攻撃的なレトリックは「民主主義は普遍的なイデオロギーではなく、21世紀の課題に対する答えを持たないという見解を受け入れさせる」という戦略の一部だ。

TOPSHOT-US-CHINA-DIPLOMACY-STABILITY

米中外交トップ会談(米アラスカ州、3月18日)

  中国人民大学米国研究センターの時殷弘主任は、反論することで欧米が対中批判をやめる公算は小さいと認識する中国政府だが、一層の強硬姿勢により、共産党が「中国権益の最善かつ最も確固たる守り手」だと国民に対しアピールできるとの見方を示す。つまりは「非難の応酬が続き、中国と米国、ひいては中国と西側をさらに遠ざける可能性がある」との見立てだ。

原題:Xi’s Red Line on China Human Rights Makes Companies Pick Sides(抜粋)

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