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Photographer: Maika Elan/Bloomberg
QuickTake

ESG債の新潮流、ブルーボンドに注目が集まる理由-QuickTake

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広大な海岸線と無数の島々を持ち、その多くが気候変動による海面上昇のリスクにさらされているインド太平洋地域ほど、水事業や海洋保護に向けた資金を必要としている地域は少ないだろう。そこで登場するのが、いわゆるブルーボンドだ。人気の高いグリーンボンド(環境債)に似ているが、持続可能な漁業や廃プラスチックの削減といった課題への対応に焦点を絞る債券で、インド洋の島しょ国セーシェルが2018年に世界で初めて発行した。コンセプトは比較的まだ珍しいが、水資源の改善などを目指す国が増えていることから注目を集めている。

1. ブルーボンドとは何か

  基本的には、海洋保護や持続可能な漁業、廃棄物処理など、水が関係する目的に資金使途が限られた債券のことを指す。環境・社会・ガバナンス(ESG)債のサブカテゴリーと考えられ、国連やアジア太平洋経済協力会議(APEC)などが提唱する概念「ブルーエコノミー」の一画を構成する。ブルーエコノミーとは、責任ある経済成長と海洋保護を融合させる考え方だ。

2. 発行体や発行額

  発行体はまだ多くない。セーシェルは世界初のブルーボンド発行で1500万ドル(約16億3000万円)を調達した。その翌年の19年には北欧投資銀行(NIB)が2億3400万ドル相当のスウェーデン・クローナ建てブルーボンドを発行。バルト海の廃棄物処理や水質汚染防止、生物多様性の回復に焦点を絞る各プロジェクト向けの資金を調達した。中国銀行は昨年9月、国外拠点2カ所でアジア初のブルーボンド総額9億6100万ドル相当を発行。その2カ月後には、興業銀行の香港支店が4億5000万ドル相当の発行で続いた。世界のグリーンボンド市場の発行額は1兆ドル強だが、100兆ドルを超える債券市場全体のほんの一部にしか過ぎない。それを考えれば、ブルーボンドはまだ大海の一滴だ。専門家らは、海岸線の長さや気候変動に対する脆弱(ぜいじゃく)性を踏まえると、東アジアやインド太平洋地域がこうした資金調達の恩恵を受ける可能性があるとみている。

ブルームバーグのトッド・ギレスピー記者がブルーボンドなどを解説する

出典:Quicktake

3. ブルーボンドの利点

  世界中のファンドマネジャーがESG債への資産配分を拡大する中、ブルーボンドも他のESG債と同様に「グリーニアム」によって市場全体をアウトパフォーマンスすることがある。ブルームバーグ・バークレイズ指数によると、中国銀行のブルーボンドのスプレッドは昨年の発行以降、中国の投資適格債市場全体に比べて縮小した。流通市場で取引されるブルーボンドはまだ少ないが、アナリストらは、こうしたプロジェクトに資金を投入する選択肢が限られている投資家にとっては独自の魅力があると指摘している。ESG熱の高まりが一段の後押しとなりそうだ。

4. 課題は何か

  これまでのところ、発行体は、ESGに関する独自の枠組みと国際基準の組み合わせで「ブルー」の定義を決めている。このことは、ブルーボンドには監督や情報開示の必要性が増す可能性があることを意味する。また投資家は、環境保護への配慮を装っただけの「グリーンウォッシング」を回避するために注意が必要になるだろう。また、水に関するプロジェクトは汚染源が必ずしも地域に限定されないことなどから、多国間の協力も必要になる。持続可能な漁業や水質改善を支援するプロジェクトは、他国の協力が得られなければ効果はあまり期待できない。そうした課題は特に、多くの国が海岸線を共有していたりする東南アジアに当てはまる。

5. 需要の見通し

  ESG債への需要は旺盛であり、ブルーボンドも例外ではない。海洋に焦点を絞るファンドにはBNPパリバのアクア・ファンドなどがあり、こうしたファンドの投資先は、持続可能な活動を推進する水処理や漁業に関連する企業が中心だ。ブルーエコノミーの促進を目指す国際機関や各国の取り組みも、ブルーボンド需要を高めるだろう。例えば、アジア開発銀行(ADB)は海洋汚染の抑止などに向けた投資や支援を24年までに50億ドルに拡大する取り組みを通じ、ブルーボンド発行での資金調達を目指している。

原題:
Why the Hot New Shade for Green Bonds Could Be Blue: QuickTake(抜粋)

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