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海外の大麻関連株に投資のGPIF-公的資金運用に難しさも

  • GPIFは少なくとも3つの大麻関連銘柄を保有-開示資料
  • 道徳的・法的原則尊重しつつ良好なリターン確保-運用者の共通課題
At Canopy Growth Corp. in Ontario, Canada.

At Canopy Growth Corp. in Ontario, Canada.

PHOTOGRAPHER: ALEXI HOBBS

世界的に合法大麻の受け入れが広がりつつある中でも、日本は断固容認しない政策を堅持している。大麻違法所持の最高刑が懲役5年と極めて厳しい日本では、今年1月に使用罪の創設を巡る議論も始まった。そうした状況下で、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は海外の大麻関連株に投資している。

  開示資料によると、GPIFは少なくとも3つの大麻関連銘柄を保有していた。金額にして計約8000万ドル(約87億円)相当。嗜好(しこう)用大麻を扱うカナダのキャノピー・グロースについては約170万株を保有し、これに基づくとGPIFは同社の上位株主12位以内に入る。

  トロントに本拠を置き、「スピナッチ」や「ハッピー・ダンス」などの大麻ブランドを展開するクロノス・グループ保有株の価値は約1700万ドル。医療用大麻会社オーロラ・カンナビス保有株の価値は700万ドル、上位株主10位以内だった。大麻関連の事件を扱ってきた刑事弁護士の亀石倫子氏はこうした状況について、「全く矛盾している」と話す。

Canopy Growth Share Price, in Canadian Dollars

Data: Bloomberg

  GPIFの広報担当、本多奈織氏はGPIFが昨年夏に開示資料で報告したこうした銘柄を現在も保有しているかどうかについてコメントを控えた。約8000万ドル相当に上るとはいえ、GPIFの運用資産(約1兆6000億ドル)のわずか0.005%にすぎない。

  本多氏は、GPIFは法令によって株式の直接購入を禁じられているとし、保有株の大半は株価指数に連動するように設計されたアカウントを通じて購入されていると説明。「被保険者の利益のために、長期的に年金財政上必要な利回りを確保することだけに専念する」と述べた。

運用に難しさ

  世界最大の公的年金基金であるGPIFは、一般社会の道徳的・法的原則を尊重しつつ、良好なリターンをどのように確保するかという問題に直面している。これは多くの公的資金運用機関が抱えている課題だ。

  例えば、中東の政府系ファンドはギャンブルやアルコール・豚肉販売などの活動を専門とする企業への投資は通常避けているが、厳格な解釈ではイスラム法に反する可能性がある企業の株式を直接、あるいは他のファンドを通じて保有しているケースは多い。

  嗜好用大麻の使用を違法としているノルウェーの政府系ファンドはキャノピーなど大麻関連銘柄に投資していたが、国内麻薬取締官の団体からの苦情を受けて売却した。医療用大麻でさえ基本的に違法としている米国内の州でも、ケンタッキーの教職員関連を含む十数を超える年金基金が、ライセンスを受けた大麻栽培者に不動産をリースするサンディエゴの不動産ファンドに出資している。

  公的資金運用で、社会的価値と相反する活動に携わる企業への投資を全面的に避けることはほぼ不可能だろうと、テキサス大学オースティン校マコームズ・スクール・オブ・ビジネスのミータ・コタレ非常勤教授は指摘する。大半の年金基金はインデックスファンドを保有しているが、こうしたファンドはさまざまな事業に関わり得る数十社、数百社の企業に投資している。

  コタレ氏にとってより重要な問題は、年金のための積立金を運用するGPIFが大半の場所でなお違法とされている大麻関連に投資することで過度なリスクを冒していないかという点だ。しかし、多くの年金基金はリスクをますます許容していると同氏は話す。国債などへの安全投資では定年後の生活を支えるのに必要なリターンをもはや確保できなくなっているためで、世界保健機関(WHO)が世界一の長寿国としている日本では特にそうだ。

  コタレ氏は「時がたつにつれて年金基金がどんどんリスクを高めているのは気掛かりだ」とし、「これは倫理的問題だ」と述べた。

原題:
Japan’s Pot Laws Are Harsh, But Its Pensioners Invest in Growers(抜粋)

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