TOPIX上昇転換、日銀ETF購入方針変更で-日経平均は下げ拡大
牧綾香-
ETF購入はTOPIX型のみに変更、年約6兆円原則を削除-日銀
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19日の東京株式相場は午後にTOPIXが上昇に転じた。9日続伸となりバブル後の戻り高値を再び更新した。日本銀行が金融政策決定会合で上場投資信託(ETF)の買い入れをTOPIX型のみに変更することを決め、銀行をはじめ幅広い銘柄に買い注文が先行した。米長期金利上昇や原油高で下落していた日経平均株価は対照的に午後に下げ幅を拡大した。
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〈きょうのポイント〉
金融政策決定会合を終えた日銀は午後、ETF買い入れについて「今後、指数の構成銘柄が最も多いTOPIXに連動するもののみ買い入れることとする」と発表した。また買い入れ額について年間約12兆円の上限を感染症収束後も継続するとしたが、約6兆円の原則については削除した。
これを受けて午後にTOPIXの水準が切り上がった。逆に日経平均株価の寄与度の高い銘柄に売りが大きく膨らみ、ファーストリテイリングは一時6.8%安と昨年8月以来の日中下落率となった。SMBC信託銀行の佐溝将司シニアマーケットアナリストは、日経平均は一部銘柄に偏る問題点が前から指摘されており「日銀が買うことによりゆがみを大きくしていた」と指摘。その上で「今の水準であれば気にする必要はなく、TOPIXのほうが市場に合った買い入れ割合になる」と述べた。
野村証券の9日時点の試算によると日銀ETF買いの指数別買い入れ比率はTOPIX型が84%、日経平均型が15.3%、JPX日経400型が0.7%となっている。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストはETF購入について、年間約6兆円の原則を削除したことは上限は維持しつつも柔軟な買い入れを続けるということであり、引き締め方向にはならないとのメッセージを伝えるための工夫だとみている。
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- 鉱業、情報・通信、ゴム製品、電機は下落率上位
