ウォール街、在宅勤務時代の終焉視野に-ワクチン接種加速で
Jennifer Surane-
ズーム疲れや家庭との両立など、在宅長期化の弊害指摘する声も
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ニューヨーク市の地下鉄乗車率はパンデミック以降で最高水準
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ニューヨーク市は経済活動を再開させつつあり、新型コロナワクチンの接種も加速している。春の訪れと共に楽観的な空気が広がっており、これはウォール街のバンカーにとって、ついにオフィス復帰が視野に入ってくることを意味する。
JPモルガン・チェースは今夏、数百人のインターンをニューヨークとロンドンのオフィスで受け入れる方針だ。シティグループは7月から、より多くの従業員のオフィス復帰を開始する。夏季を通じて北米従業員の30%が戻ることを見込んでいるという。ゴールドマン・サックス・グループも、夏までにはより多くの社員をオフィスに復帰させたいとの意向を示している。
ウォール街がコロナ対策で在宅勤務に切り替えて1年が過ぎた。「ズーム疲れ」や仕事と家庭の両立など、多くのバンカーは長期のリモート勤務による負担が大きくなっていると語る。
アポロ・グローバル・マネジメントが在宅と出社を組み合わせたハイブリッド方式を検討するなど、勤務形態の柔軟性が増している兆候もある。しかし、他の業界が「コロナ後」の仕事のあり方を劇的に変えようとしているのに比べ、ニューヨークの金融大手の姿勢は明確だ。つまり、従業員はオフィスで働くべきだという考えだ。

エバコアのシュロースタインCEOがオフィス復帰について語る
(出典:ブルームバーグ)
米投資銀行エバコアのラルフ・シュロースタインCEOは「一緒にオフィスに戻ることが、まさにわれわれの目標だ」と、16日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで語った。
ウォール街は昨年秋にも一部従業員をオフィスに戻そうとしたが、冬に新型コロナ感染が再拡大したのを受け、そうした動きは頓挫した。セキュリティー会社カッスル・システムズのデータによると、ニューヨークで勤務する人のオフィス復帰率は3月3日時点で14.5%にとどまる。
しかし、今回は事情が異なるとみられる。バイデン大統領は全成人を5月1日までにワクチン接種の対象にするよう各州に指示。先週にはニューヨーク市の地下鉄乗車率が、パンデミックが始まって以降で最高水準に達した。
クレディ・スイス・グループのトレーディング・投資銀行責任者、ブライアン・チン氏は、同僚や顧客と会うためにオフィス復帰を求める声が従業員の間で強まっていると述べた。
クレディ・スイス、一部行員のオフィス復帰望む-在宅勤務疲れを懸念

JPモルガン・チェースのニューヨーク本社(2020年9月)
写真家:Michael Nagle / Bloomberg
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原題:
At Long Last, Wall Street Sees Path to Return to the Office (1)(抜粋)