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東芝社長、アクティビストの勝利で正念場に-株主が再調査を支持

更新日時
  • 車谷社長は退任余儀なくされる、調査結果前に辞任との声も
  • 今後の東芝「開かれた姿勢と対話の姿勢が鍵になる」と専門家

東芝が18日開いた臨時株主総会で、昨年の定時総会での取締役選任を巡る再調査などを求めるエフィッシモ・キャピタル・マネジメントの提案が可決された。会社側の対応に疑念を持つ物言う株主(アクティビスト)の主張が支持されたことで、車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)が退任を余儀なくされるとの声も上がっている。

  企業統治(コーポレートガバナンス)に詳しい郷原信郎弁護士は、調査委員会による再調査を求める行動は極めて正当で「これが臨時総会で認められた意義は非常に大きい。画期的」だと評価。今後、東芝にとってエフィッシモの存在は大きくなり、車谷氏は退任を「避けられなくなるのではないか」とみている。

Toshiba Corp. Chief Executive Officer Nobuaki Kurumatani Media Round Table

東芝の車谷暢昭社長(2018年4月)

  ユナイテッド・ファースト・パートナーズのアジア調査責任者であるジャスティン・タン氏も、臨時総会の結果は「コーポレートガバナンスの大きな勝利」であり、他の企業にも行動変化が現れるだろうと分析。東芝の経営体制はもはや安泰ではなく、車谷氏は調査結果が出る前に辞任するのではないかとの見方を示した。

  エフィッシモは昨年の定時総会で、組織風土やガバナンスの問題を解決するため、創業者の今井陽一郎氏ら3人を取締役として提案したが、否決された。今回の臨時総会では、昨年の定時総会での議決権集計方法に問題があり、調査する必要があるとして弁護士3人の選任を提案していた。車谷氏ら東芝側は監査委員会による調査の結果、集計に問題はなかったとしている。

  郷原氏は、東芝が再調査を拒むのは弁解できない理由があるからではないかと推測。調査結果を踏まえ、今年の定時総会では「株主が車谷氏を信任するかどうかが問われる」ことになると述べた。それに先立つ指名委員会で車谷氏の選任自体が議論になる可能性があるともみている。

  昨年の定時総会ではエフィッシモが派遣しようとした取締役候補への投票は過半に満たなかったとして否決された一方、車谷氏の賛成票も57.20%にとどまっていた。同氏は社長就任から2年目、CEOとしては4年目を迎える。現在の中期経営計画では再生可能エネルギー事業の強化などを進めている。  

  東京都立大学大学院の松田千恵子教授は、賛成比率の低かった車谷氏は、改めて臨時総会が開かれたことで「資本市場との信頼関係を築けていないことがあらわになってしまった」と指摘。改善できなければ、今年の定時総会は「厳しい状況になると思う」とし、東芝にとっては今後、「開かれた姿勢と対話の姿勢が鍵になる」と述べた。

  車谷氏は同日、臨時総会後に「当社としては株主様の総体的意思を真摯(しんし)に受け止める」とし、エフィッシモの調査に「誠実に協力し、引き続き経営の透明性の一層の確保を図っていく」とのコメントを発表した。

  郷原氏はアクティビストが勝利した今回の東芝のケースは「日本の経済、社会全体に対する警鐘」であるとし、企業側は株主不在のガバナンスを根本的に改めるとともに、アクティビストは企業の敵であるかのような風潮も変えていく必要があると指摘した。

  東芝の株価は18日、前日比で小高く推移した後、エフィッシモの提案可決が伝わった午前11時以降に一時3.6%高まで上昇。終値は1.5%高の3795円だった。19日も一時4%高と続伸している。

  東芝は2017年以降、債務超過を解消するためメモリー事業を売却したほか、第三者割当増資で多くの海外ファンドから出資を受けた。その後、米ヘッジファンドの要求を受け入れ、約7000億円の自社株買いを実施。20年5月時点の外国人持ち株比率は6割を超える。  

  18日の臨時総会では、新たな資本政策案を策定し、株主総会での承認を求めた米資産運用会社ファラロン・キャピタル系のチヌーク・ホールディングスの議案は反対多数で否決された。

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