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「ぼったくり」原点に起業、空港送迎のスマートライド-株式公開視野

  • トヨタが4月に新設する「モビマ」と提携、大きな期待と木村CEO
  • ウーバーやグラブなどライドシェアとの差別化課題とアナリスト

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木村聡太氏(25)は立命館大学の学生だった2015年、旅先のタイで空港から市内へ向かうタクシーでぼったくられた。想定額の3倍以上を請求され、目的とは正反対の見知らぬ地で降ろされた。この経験を原点に旅行者が安心して移動できるサービスを提供する「SmartRyde」(スマートライド)を創業、3年以内の新規株式公開(IPO)を目指している。

  スマートライド(港区)は現在、世界150カ国以上で空港送迎サービスを提供する。650社ほどのタクシー会社と提携し、ブッキングドットコムといった100社余りの代理店を通じて旅行付帯サービスとして予約可能だ。最高経営責任者(CEO)の木村氏はブルームバーグのインタビューで再来期(24年2月期)中の上場、25年2月期には予約数を現在の約10倍以上の年65万件、売上高で約40億円に拡大させる意向を示した。

Sota Kimura

Sota Kimura

Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

  同様のサービスはウーバーグラブといったライドシェア企業がすでに提供している。スマートライドは創業の原点である安心・安全を差別化の一つに掲げ、空港送迎に加えて観光を含む旅行中の全ての移動を一貫して提供する仕組みも導入する方針だ。新型コロナウイルス収束後を見据えた株式公開に向けては、こうした取り組みを含めて独自色を確立することが投資家を引き付ける鍵になる。

  自動車調査会社カノラマの宮尾健アナリストは、モビリティー(移動関連)市場で存在感のある企業になるためには既存の公共交通インフラの隙間を埋め、ライドシェア企業との差別化も鮮明にする必要があると指摘した。このためスマートライドの課題は「空港を足場としたアライアンス構築や、ユニークな仕掛けの提供だ」と指摘した。

トヨタと提携

  スマートライドの利用が多いのは現在バンコク、クアラルンプール、マニラといった東南アジアの主要都市やホノルルやカンクンなど米国人に人気の観光地。地域により料金は異なるが現地タクシーの1.5倍程度。事前予約や空港ロビーで運転手に会える利便性、安心感はある。新型コロナによる海外旅行需要減で打撃を受けるが、販売代理店を増やして集客の間口を広げている。

  木村CEOは、国境を越えた旅行需要がコロナ前の19年の水準まで回復するのは23年後半と見込んでいる。上場の時期も含めてそれまでに独自色を鮮明にする意向で、旅行中の観光タクシーのような専用の移動プランを、旅行者属性などデータを活用して提供するのもその一つ。まずは瀬戸内海エリアで実証を開始し、海外に導入していく計画だ。

  トヨタ自動車との提携も予定している。トヨタ全額出資企業が親会社のKINTO(名古屋市)は、多様なモビリティーサービスを提供するオンラインサイト「モビリティマーケット」(モビマ)を4月に立ち上げる。スマートライドは提携企業としてNTTドコモやJTBとともに参画する。「トヨタのような大企業と共同でモビリティーの喜びを訴求することに大きな期待を寄せている」と木村CEOは語った。

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