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東芝の臨時総会でファンド提案可決、「株主の権利」に支持広がる

更新日時
  • 筆頭株主のエフィッシモ提案が可決-株価は一時前日比3.6%高に
  • 提案可決で車谷CEOのリーダーシップへの疑念生じるとの見方も

東芝は18日、都内で臨時株主総会を開催し、筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントが提案した昨年の定時株主総会の運営について第三者による調査を実施する議案が賛成多数で可決された。取締役補充など必要に迫られた開催ではなく、「株主の権利の回復」がテーマの異例の総会で、提案株主の主張が通る形となった。

Toshiba Corp. CFO Masayoshi Hirata Presents Second-Quarter Earnings Figures

東芝のロゴ

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  総会の結果を受け、エフィッシモは18日、「株主にとって最も基本的な権利である議決権行使を守ることにつながる弊社の主張に賛同いただき深謝する」とのコメントを発表。東芝経営陣は決議の事実を尊重し「調査に全面的に協力することで、株主との信頼関係の再構築に努めてほしい」と訴えた。東芝の株価は一時3875円と前日比3.6%高まで上昇した。

  総会で審議されたのは、エフィッシモの議案と、米資産運用会社ファラロン・キャピタル系のチヌーク・ホールディングスが提案した議案の2件。ファラロンの議案は否決された。東芝は両議案に反対を表明していた。

  SBI証券の和泉美治シニアアナリストは事前取材に「株主の要求で臨時総会を開くのは珍しい。ファンド側にとっては定時総会まで待てない重大な問題だったということだろう」と指摘していた。

  エフィッシモは、昨年7月の東芝の定時株主総会で議決権の誤集計が発覚したことに関連し、議決権の扱いに不自然な点が依然として数多く存在していると主張。昨年の総会運営の公正性を改めて調査するとして弁護士3人を推薦し、選任を求めた。可決には出席株主の過半数の賛成が必要だった。東芝は自社の監査委員会が可能な限り調査を行ったなどとして反対を表明していた。

  ファラロンは、東芝が昨秋に1兆円規模の資金を企業買収などに用いる趣旨の成長戦略を公表したことを問題視。株主への合理的な説明責任を果たさずに中期経営計画の内容を変更し、リスクを伴う成長戦略に変更することは許されないとして、新たな資本政策案を策定し、株主総会で承認を得るよう求めた。定款の一部変更を伴うため、可決には出席株主の3分の2以上の賛成が必要だった。東芝は中計の方針は変更していないと反論した。

  二つの株主提案に共通しているのは、株主の権利を尊重してほしいという主張だ。総会招集通知によると、エフィッシモは「議決権行使は株主にとって基本的な権利であり、株主総会の運営は株式会社制度の根幹を成すものだ」と説明。定時総会のやり直しは求めなかった。

  ファラロンは18日、「多くの株主がわれわれの提案を支持してくださり感謝する。東芝との建設的な対話を続けていく」とのコメントを発表。東芝の株価が事業価値を適切に反映するための最適な方法はコーポレートガバナンス(企業統治)を改善し、株主とのエンゲージメント(対話)を活用することだとしている。

米大手年金が株主側を支持

  また、両社は公表資料で、ともに誤集計のあった定時総会での東芝の車谷暢昭最高経営責任者(CEO)の取締役再任議案の賛成率が57.2%と低かったことに言及。SBI証の和泉アナリストは「両提案もしくはどちらかの提案が可決された場合、中期計画をリードする車谷氏のリーダーシップへの疑念が生まれるだろう」と述べた。

  株主側の主張に、海外投資家らの支持が広がっていた。エフィッシモの発表によると、米大手機関投資家のカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)、フロリダ州の退職年金基金を運用するステート・ボード・オブ・ アドミニストレーション(SBA)が同ファンドの提案に賛成票を投じた。後者はファラロンの議案にも賛成した。

  議決権行使助言会社の米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)はエフィッシモへの提案に賛成を推奨、米グラスルイスは両議案への賛成を推奨している。

  総会前の取材に対し、会社役員育成機構のニコラス・ベネシュ代表理事は、臨時総会での投票の結果はどれだけスチュワードシップ・コード(機関投資家の行動指針)が日本に根付いているかを白日の下にさらすとその意義を説明。多くの企業が企業統治を改善してきている中でも、日本企業の象徴としての東芝の動向は「日本株式会社」が正しい方向に向かっているかどうかの試金石になるだろうとの認識を示していた。

  一方で、海外投資家からは冷めた意見も聞かれる。米ダルトン・インベストメンツ共同創業者のジェイミー・ローゼンワルド氏は、東芝は技術流出を警戒した外資規制である改正外為法のコア業種に指定されており「政府方針の下で株主はどんな力を持ち得るというのか」と漏らす。

  18日の臨時総会では、経済産業省の圧力で定時総会で議決権行使を断念した投資家がいたとの報道に関連し、東芝側は、監査委員会の調査では経産省関係者と同社関係者が直接コンタクトをした事実は発見されなかったと述べる一方で、東芝の照会に「ある人物から接触があり、議決権を行使しなかった」と回答した大株主がいたとも明かした。今回選任された弁護士らによる調査結果に注目が集まりそうだ。

(第8段落にファラロンのコメントを追加して記事を更新します)
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