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ゴールドマン、好業績の裏で高まる社内の緊張-CEOへの反発も

更新日時
  • 利益は急増しているが、ソロモン氏の経営スタイルに一部で不満
  • パンデミック下での業績が「全てを物語っている」-広報担当

2月下旬、ゴールドマン・サックス・グループの社用ジェット機が陽光の降り注ぐバハマに降り立った。乗っていたのはデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)で、週末のために社用機を使うのは過去7週で7回目だ。

  その一方でニューヨークでは、ソロモン氏が在宅勤務を公然と批判したことで従業員に動揺が走っていた。同氏は在宅勤務は「例外的な状況であり、できる限り速やかに修正する」と語った。この発言に至るまでの数カ月間、同氏は腹心らに対し、一部の従業員にとっては仕事よりも家庭が大事なのではないかと不満をもらしていた。

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 ニューヨーク州ハンプトンズのコンサートにDJとして出演するソロモン氏(2020年7月)

  多くの意味で、今はゴールドマン自体にも陽光が降り注いでいるべき状況だ。ビジネスは活況を呈し、株価も好調で、マレーシアの政府系投資会社1マレーシア・デベロップメント(1MDB)絡みの問題もようやく決着した。しかし実際には、幹部の相次ぐ退社や社用ジェット機の私的旅行への利用、新型コロナウイルス禍が収束した後の勤務形態の柔軟性などを巡る話題に関心が集まっている。

  新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)はウォール街には追い風となり、ゴールドマンの2020年通期の収入は前年比22%増の446億ドル(約4兆8700億円)と、過去10年余りで最大となった。株価は過去1年で約2倍に跳ね上がっている。

Goldman's stock soared as Solomon led the bank through the pandemic

  広報担当ジェイク・シーワート氏は、昨年3月にパンデミックが直撃して以降、ソロモン氏はウォール街の本社から陣頭指揮を執り続けており、「結果が全てを物語っている」と述べた。

  しかし、パンデミックの宣言から1年が経過した今、ゴールドマンの社内には緊張感もうかがえる。過去数カ月間で幹部流出が続き、投資銀行部門の責任者グレッグ・レムカウ氏、コンシューマーバンキングを率いていたオマール・イスマイル氏、資産運用事業の共同責任者を務めてきたエリック・レーン氏が相次いで退社した。3人は約2年前にCEOに就任したソロモン氏が作り上げてきた経営陣の一角だった。

  こうした幹部の退社などを受け、ゴールドマンではソロモンCEOのリーダーシップを巡る議論が起きており、従業員の忠誠心などで知られる同社で何か抜本的な変化が起きているとの観測が持ち上がっている。

  20人を超える同社の現・元上級幹部へのインタビューでは、ベテラン社員らが不満を募らせていることが明らかになった。従業員らが新型コロナ禍の生活の厳しさに直面する中、ソロモン氏はそれに無関心と受け取られるようなリスクを冒し、部下らに自身と同様に出社を求める一方、個人的な休みに社用機を頻繁に利用しているというものだ。

社用ジェット機

  社用ジェット機はウォール街では当たり前のように映るかもしれないが、ゴールドマンは長い間、浪費批判を受けることを懸念して購入を控えていた。

  しかし19年にネットジェッツと契約していたビジネスジェットに再度の不具合が生じ、アジアに向かっていたソロモン氏は代替機を待ちながらアラスカのアンカレッジのホテルから社内会議に参加する出来事が起きたことを会議参加者が明らかにしている。その後、ゴールドマンはガルフストリームから社用ジェット機を購入した。

  この社用機はフロリダ州やテキサス州の拠点を訪れる際など主に業務向けに使われているが、パンデミック下での余暇を過ごすためにバハマ諸島などへの往復にも利用されている。

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モニターに映るソロモンCEO(2020年6月)

  そうした社用機の利用が上層部の間では懸案材料となっている。事情に詳しい関係者によると、ゴールドマンの首席顧問ジョン・ロジャーズ氏は、社用機購入が同行の評判を落とすことになると懸念を示していた。また、エグゼクティブ・オフィスと呼ばれる部門でも個人的な利用について批判を防ぐための話し合いなどが行われた。

在宅勤務の是非

  ソロモン氏は昨年7月には社員をオフィスに戻すことを大々的に進めようとしていたが、周囲の幹部らの反対で押しとどめられた。同氏は在宅勤務の弊害として、イノベーションの低下や社会的つながりの崩壊について不満をもらしていた。

  2月24日の会合では、従業員が全員そろってオフィスで働くことへの希望をあらためて表明。その直後、ゴールドマンの元幹部1人の電話は鳴り始めたという。この元幹部の長年の同僚たちは、ソロモン氏の姿勢に対する不満を吐き出す先を探していたのだ。

相次ぐ幹部の流出

  投資銀行部門トップだったレムカウ氏の昨年の退社はウォール街を驚かせた。消費者バンキングの責任者イスマイル氏と同氏の右腕だったデービッド・スターク氏は、ウォルマートのフィンテックベンチャーを率いるため同行を去った

  資産運用事業の共同責任者レーン氏がヘッジファンド運用会社タイガー・グローバル・マネジメントへの移籍を決めた際、ソロモン氏にその旨を伝えると2人は口論になったという。ほとぼりが冷めた頃、ソロモン氏はディナーの席でレーン氏にとどまるよう説得を試みた。しかし、レーン氏は断った。

  ゴールドマンを去るのは幹部だけではない。ここ数年でパートナーになった人でさえ他の仕事に移っている。スターク氏もその1人だ。

  元ゴールドマン社員のネットワークを作り、過去40年にわたり同社と関係してきたジャネット・ ハンソン氏は「昔なら人々は『ちょっと待ってくれ。あなたは宝くじに当たったばかりで会社のゼネラルパートナーになったのに辞めるというのか』と驚いただろう」とコメント。「パートナーというステータスは以前とは変わっており、ソロモン氏もそれで構わないように見える」と語った。

原題:Goldman CEO’s Year of Empty Offices, Island Getaways and Strife(抜粋)

(第9段落以降および写真とチャートを追加して更新します)
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