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ヘッジファンド、人材採掘急務-シンガポールで高校生もインターンに

  • モジュラー・アセットの2週間の研修に16歳の女子高生が参加
  • シンガポール政府は補助金用意、企業の現地採用を後押し

食うか食われるかのヘッジファンド業界で16歳の若者をインターンとして採用するというのは前例がないが、地元で優れた人材が見つからないなら未成年を教育するというのはやってみる価値のある投資だろう。

  高校生のイ・ク・カオさんは昨年の夏、ミレニアム・マネジメントから枝分かれしたシンガポールのヘッジファンド、モジュラー・アセット・マネジメントで2週間働いた。10億ドル(約1100億円)規模の運用資産を持つ同社でスプレッドシートのデータを分析したり、ベテランと対話したり、運用者らが投資アイデアについて激しく議論を闘わせる会議を見学したりした。

  今年17歳になったカオさんは、アクティブ資産運用の世界で訓練を受けるシンガポールの若者の中でも最年少だった。小さな島国のシンガポールに大手ヘッジファンドが次々と拠点を構える中で資格を持つプロの運用者の不足が問題になり始め、政府と業界が次世代の育成に乗り出した。

  「ちょっと怖かった。話しかけられてもどう反応していいか、どうやって会話を続かせればいいかが分からなかったが、皆親切だった」と、10人のクラスメートを抑えてインターンに選ばれたカオさんは初日の体験について語った。将来の進路として「この仕事を検討する可能性は間違いなく高くなった」という。

Assets Soar

Singapore-based hedge funds' AUM have more than doubled since 2016

Source: Eurekahedge

  シンガポールにはヘッジファンドのほか多数のファミリーオフィスが拠点を開き、ブリッジウォーター・アソシエーツ創設者の レイ・ダリオ氏も最近部門を設置した。

  これらの企業にとって自明な解決策は、欧州や米国などの伝統的な金融の中心から人材を連れてくることだ。しかしシンガポール政府は、外国人に頼るのではなく国内で採用することを求める。就労許可を持つ外国人の雇用に必要な最低賃金は上昇を続ける一方、シンガポール国民を採用する要件を満たした企業には優遇措置が付与される。

  とはいえ、資産運用会社は現地の人材だからといって重要な役割に適さない人を採用したくはない。そこで政府は、資産運用のコースのための研修補助金制度を導入した。国民に世界での経験を積ませることも目指し、金融機関がシンガポールで採用した人材を海外に配置すると最高10万シンガポール・ドル(約810万円)の補助金を出す。 金融サービスの各業種を紹介するカラフルなウェブサイトも用意した。

  25億ドルを運用するクオンテッジ・キャピタルのスハイミ・ザイナルアビディン最高経営責任者(CEO)は、ほとんどの採用をインターン経験者から選ぶことになる公算が大きいと言う。最近のプログラムでは300人の候補者の中から30人を選んで試験と面接を行い、10人を5週間のインターンプログラムに参加させた。そのうち3人を採用したという。

  モジュラーのジミー・リムCEOは、国内外の最高の人材を集めようとしている。世界から集めたプロにシンガポールで12-24カ月、同社のリスク管理ツールの使い方やレバレッジ管理について教える。「18カ月が過ぎるころにはその人がこの業務に向いているかいないかが分かってくる。向いていれば任せる資産を増やすし、向いていなければたいてい退社していく」という。 

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ジミー・リム氏(右)とジェスパー・ルース氏

Photographer: Lauryn Ishak/Bloomberg

  もう一つの方法は、研究者など運用の経験のない人材を採用し、数年にわたる育成プログラムを通じてポートフォリオマネジャーに育てることだ。モジュラーがまだミレニアム・マネジメントの一部だったころに加わったジェスパー・ルース氏は同プログラムの卒業生だ。同僚からの指導を受けつつ、今では自身の投資アイデアをほぼ修正されることなく社内会議で通せるようになった。

  ルース氏は「ポートフォリオマネジャーになれるという見込みには魅力があり、これがモジュラーに加わった理由の一つだ」と説明。昨年12月に顧客資金の運用を始めた同氏は「責任は重いが、自分にとって大きなチャンスでもある」と話した。

  しかし、シンガポールが世界クラスの人材を生むためには、より早い時期の介入が鍵を握るかもしれない。カオさんの通うラッフルズ・ガールズ・スクールはさまざまな金融機関に生徒を送り込んでいる。ハスリンダ・ザマニ校長の電子メールによると、最近ではヘッジファンドや未来の銀行業についてのウェブセミナーを、業界の専門家を招いて開催した。

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イ・ケ・カオさん

Photographer: Wei Leng Tay/Bloomberg

  両親とも金融業界で働いていたカオさんにとって、体験は貴重だった。ヘッジファンドについては何も知らなかったので特にそうだ。幾分の経験で自信を付けた今では、運用者になるという夢の実現に少し近づけた気がするという。

  「女性が金融業界で働くことについて指導役の女性に話を聞いた。男性に比べてはるかに難しいと言われた。私の母も金融業界で働いていたことについて話してくれた。厳しいことは確かだが、自分に能力があれば乗り越えられると確信している」と話した。

原題:
Hedge Funds Train Teens in Hunt for Singapore Investing Talent(抜粋)

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