, コンテンツにスキップする

どうなる補完的レバレッジ比率、米長期金利不安だけでない-QuickTake

米連邦準備制度理事会(FRB)など米金融監督当局に対し、「補完的レバレッジ比率(SLR)」の条件緩和の終了期限を3月末から延長するよう多くの銀行が要求している。経済情勢がなお脆弱(ぜいじゃく)な中で、融資縮小などを迫られかねないというのが理由だ。

  だが、銀行業界に批判的な民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員らは、銀行が多額の株主還元を行う状況で、緩和を延長する正当性を疑問視する。

  新型コロナウイルス危機に対応するため、連邦準備制度は昨年3月、国債や住宅ローン担保証券(MBS)を事実上無制限に買い入れる方針を決定。国債をマネーマネジャーから買い取る際、それらの証券は連邦準備制度のバランスシート上の資産となる。売り手は受け取った資金を銀行に預け、銀行は準備預金を増やす場合が多く、それは銀行にとって資産、連邦準備制度にとって負債となる。

  つまり、米金融当局による大量の買い入れは米銀の資産水準を押し上げる。SLRの条件が緩和されないままなら、銀行が資本を積み増す必要が出てきただろう。

  昨年3月のような危機的状況では銀行が経済から資金を引き揚げることが最も望ましくないため、苦境にある企業や家計に銀行が余剰資本を振り向けられるようFRBなどはSLRの条件を緩和した。国債市場の混乱が続いたことも決定を促す重要な要因となった。SLRの条件緩和は、レポ取引として知られる短期調達手段への資金提供を銀行に継続させ、市場の安定に寄与した。

  SLRの条件緩和を継続するかどうか米金融監督当局なお検討中としているが、ウォール街は延長を強く求めている。JPモルガン・チェースは元のより厳しいルールに戻れば、顧客からの預金受け入れを敬遠せざるを得ない恐れがあると警告した。

  条件の緩和に伴い、銀行はバランスシートを最大6000億ドル(約65兆円)相当拡大させることが可能になったとも推計される。米国債市場の最近の大きな変動も、銀行が米国債の保有を減らし、場合によって相当量の売却を迫られるという不安が関係しているのではないかとアナリストは指摘する。

米国債市場も疑心暗鬼、補完的レバレッジ比率-約22兆円売却リスクも

  一方、連邦準備制度が新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の初期段階で米銀大手に課した配当・自社株買い制限を緩和したことが、政治問題を引き起こしたと受け取る向きもある。銀行は今や自社株買いを再開し、株主に資本を還元しており、SLRの観点からすれば分子をわざと小さくしている。分母(エクスポージャー)算出を通常の条件に戻す余裕があるという主張も理にかなう。

  民主党のウォーレン議員とシェロッド・ブラウン議員(現在は上院銀行委員長)は金融当局に宛てた書簡で、「レバレッジ要件の下で銀行の顧客からの預金受け入れ能力と準備吸収能力に不安があるという限り、監督当局は銀行の資本還元を停止させるべきだ。株主と経営幹部に現在還元している資本でバランスシート拡大を一部手当てできるのではないか」と訴えた。

補完的レバレッジ比率緩和、延長すべきでない-ウォーレン議員ら訴え

The Big Get Bigger

U.S. bank reserves at the Fed ballooned last year

Sources: Wrightson ICAP, Federal Reserve

An Uptick in Deposits

Covid-19 corresponded with a surge in customers holding money at banks

Source: FDIC

原題:Why Fed’s Covid Break for Banks Now Has It in a Bind: QuickTake

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:
東京 内田良治 ruchida2@bloomberg.net

翻訳記事に関するエディターへの問い合わせ先
松田英明 hmatsuda18@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE