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中国EVメーカーが低価格で市場開拓、テスラと差別化-46万円台も

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  • 上汽通用五菱汽車、基本価格わずか約46万円のEV発売-人気商品に
  • 極めて安価なEVが中国で顧客獲得、他の市場にも広がるとの見方

中国の工場で働くウェン・チャンチンさんは運転免許の取得前から電気自動車(EV)が欲しかったことを覚えている。中国東部の小さな町に暮らし、第1子誕生を心待ちにしていたウェンさんはガソリン代や維持費を節約できるなら自家用車を購入できると考えた。

  ただ、ウェンさん(37)には中国での価格が約3万8000ドル(約410万円)からに設定されている米テスラの「モデル3」は手が届かず、地場EVメーカーの合衆汽車が販売する6万6900元(約110万円)のクロスオーバーEVを購入した。

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クロスオーバーEVを購入したウェン・チャンチンさん

Source: Weng Changqing

  低価格で信頼できるEVは自家用車の普及を促す潜在力を秘め、車を購入する余裕がこれまでなかった人々の移動範囲も広がる。ブルームバーグNEF(BNEF)のアナリスト、シイ・ミ氏は「こうした廉価版EVは中国で新たな顧客を開拓しつつあり、値下がりに伴い他の市場にも広がるだろう」と話す。

  BNEFによれば、EV価格はこのままいくと今後4-6年で化石燃料を動力とする自動車と肩を並べる見通しで、この時点で年間販売は飛躍的に伸び、現在の年200万台程度から2030年には2500万台に達する見込みだ。

  ワシントンのアメリカン大学で教鞭(きょうべん)を執り、自動車コンサルティング会社の創業パートナーも務めるセリカ・タルボット氏は、こうしたシフトは公共交通機関へのアクセスが限られる都心の郊外や農村部に住む人々を中心に、大規模な社会的影響をもたらす可能性があると指摘する。

価格46万円

  中国で販売されている合衆汽車の「哪吒N01」は、数ある低価格EVの一角。他にもウォーレン・バフェット氏が出資するBYD(比亜迪)の小型EV「e1」(価格8950ドル)や、上汽通用五菱汽車がわずか4230ドル(約46万円)という基本価格で昨年発売し、すぐにヒットした「宏光ミニ」もある。自動車調査会社ジャト・ダイナミクスによると、2020年上期の奨励金を除くEVの平均小売価格は米国の5万5233ドルに対し、中国は2万9895ドルだった。

  中国では内装などを最小限に抑えることで、低価格EVの量産が可能だ。低速でしか走行できないことが多く、充電1回当たりの航続距離もウェンさんのクロスオーバーEVの場合は187マイル(約300キロメートル)程度と、モデル3ロングレンジの約半分にとどまる。

  中国の低価格EV業界は、政府補助金や地方を対象とした低利ローンなどインセンティブによる追い風を受けている面もある。中国は世界最大のバッテリー製造国でもあり、EVメーカーはコストが最も高い部品である電池を低コストで調達できる。

Monthly Ownership Costs in the U.S.

*Includes federal tax credit for electric vehicles.

Data: Carboncounter.com

  この5年で低コストEVは既に多くの市場で勢いを増している。マサチューセッツ工科大学(MIT)による最近の調査によれば、米国で使用可能な車1000種余りをライフタイムコスト(先行費用や維持費、燃料費を含む)に基づいてマッピングしたところ、日産自動車の「リーフ」(米国の税補助後で2021年モデル価格が2万5000ドル未満から)が現在利用できる最も安価な車の1つであることが示された。

  この調査を率いたMITのジェシカ・トランシク教授は「消費者の出費を抑えることができるEVは既に市場にある」と指摘。「人々が知るべき重要な点だ」と述べている。

原題:China’s $4,230 Electric Cars Tap Huge Market Tesla Can’t Reach(抜粋)

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)
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