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パウエル議長のダッシュボード、雇用目標への長い道のり浮き彫りに

  • FRBの焦点は全体的指標から最も脆弱なグループにシフト
  • パウエル議長は黒人失業率や低賃金労働者、非大卒者に注目

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、自身と金融当局者がこの10年に完全雇用の意味について多くを学んだと話す。記録的な経済悪化からの回復を見通す今、「パウエル・ダッシュボード」と呼ぶこともできる一連の新たな雇用指標に当局者は注目している。

  パウエル議長は最近、複数のデータを取り上げ、ニュースの見出しとなる数字だけでなく、労働力の最も脆弱(ぜいじゃく)な部分に当局が焦点をシフトさせたことを明確にしている。5日発表された2月の雇用統計を含め、新規のデータを踏まえて当局がどの程度の期間にわたり政策金利をゼロ付近に据え置くかを推測する上で、FRBウォッチャーが把握すべき重要な展開だ。

米雇用者数2月は37.9万人増、予想上回る-失業率6.2%に低下

  このアプローチは、大不況で生じた労働市場のたるみの判断に当たりイエレン前FRB議長が注目したとされる複数の指標から成る「ダッシュボード」の進化形だ。FRBウォッチャーらはこのダッシュボードを基に求人倍率や解雇率、不完全雇用率、労働力全体における長期失業者の割合などの統計に注目した。

  それに対しパウエル議長が重視する統計リストは、黒人の失業率や低賃金労働者の賃金上昇率、大学卒業者でない人々の労働参加率など、過去の例に照らして、もっと広範な指標よりも回復に時間がかかったカテゴリーだ。

Powell And Mnuchin Testify Before Senate Banking Committee

パウエルFRB議長

Photographer: Susan Walsh/AP Photo/Bloomberg

  元FRB当局者で現在はUBSの米国担当チーフエコノミストを務めるセス・カーペンター氏は「かなり注目すべき変化だ」と指摘。完全雇用のこうした新たな定義は、「所得分布のあらゆる部分で企業が労働者獲得を目指し競争する状況が見え始める」までは、経済がそうした状況に達したと判断できないという認識が当局者の間で深まりつつあることの表れだと分析した。

  パウエル議長が重要視し、今後の課題を浮き彫りにする幾つかの指標を以下に挙げる。

黒人失業率

  新型コロナウイルス感染症(COVID19)の流行で黒人失業率は昨年4、5両月に16.7%に急上昇した。今年1月までには9.2%に改善したが、2月は9.9%に再び悪化したことが5日の労働省の統計で示された。

  米金融当局には近年、景気回復がまだら模様であることを認めるよう求める圧力が増しており、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)で風当たりはさらに強まっている。パウエル議長は総計や中央値だけでなく、幅広い雇用の増加を見たいと繰り返し述べており、昨年8月に当局は、より包括的なアプローチを体系化するための金融政策戦略の変更を発表した。

Black Unemployment

低賃金労働者の賃金の伸び

  イエレン氏はFRB議長当時、完全雇用に向けた進捗(しんちょく)状況を判断するための指標として賃金の伸びをしばしば引用した。アトランタ連銀が算出する指標もイエレン氏のダッシュボードに含まれていた。

  パウエル議長は2月10日の講演で、所得分布で下位25%の賃金に特に言及した。アトランタ連銀によると、米国での新型コロナ禍本格化の直前、このグループの賃金上昇率は12カ月平均で4.7%。全体的な賃金の伸びと比較した場合、これは1990年代後半以来の高水準だった。

  利用可能な直近データである今年1月までには、このグループの賃金上昇率は4%に減速した。2001年と07-09年の不況ではいずれも、このグループの賃金上昇率が底打ちするのに約3年かかった。

Low-Wage Earnings

非大卒者

  パウエル議長はまた、大学教育を受けていない人々の労働参加率も注視している。パンデミックでこうした層は大きな影響を受けており、5日発表の労働省の統計によると、非大卒者の労働参加率は2月時点でわずか54.7%。20年2月時点では58.3%だった。

Non-College Participation

原題:
Powell’s Dashboard Shows How Far U.S. Economy Has to Go on Jobs(抜粋)

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