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野村HDが20年のM&A助言で首位、21年は大規模な業界再編の予測も

  • NTTによるドコモ完全子会社化など大型案件に多く関わる
  • 昨年12月下旬以降は国境をまたいだM&A含めて案件活発に

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2020年の日本企業関連の合併・買収(M&A)助言業務で野村ホールディングス(HD)が首位となった。新型コロナウイルスの感染拡大で4-6月は件数・金額ともに落ち込んだものの、年後半に盛り返し、通年では前年並みの水準に落ち着いた。21年はコロナ禍を機に構造改革に手を付けた企業などによる業界再編機運が高まるとみられる。

Views of Nomura and Daiwa Securities Ahead of Earnings Announcement

20年のM&A助言で野村HDが首位

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  ブルームバーグのデータによると、20年の日本関連M&Aの件数は前年比2.9%減の4488件、取引金額ベースでは同3.7%減の30兆600億円だった。四半期ベースで見ると、緊急事態宣言の発出で対面交渉が急速に難しくなった4-6月に2兆4200億円と7年3カ月ぶりの低水準に落ち込んだが、7-9月には17兆8100億円と急回復した。

  野村HDは総額約4兆2500億円と最大案件となったNTTによるNTTドコモの完全子会社化でドコモ側の財務アドバイザーを務めたほか、セブン&アイ・ホールディングスによる米スピードウェイ買収、日本ペイントホールディングスのシンガポール企業ウットラムグループ傘下入りなど多くの大型案件に関わった。

アドバイザー取引金額合計取引件数
1野村HD12兆8526億円86
2三菱UFJモルガン・スタンレー11兆1359億円37
3デロイト・トーマツ7兆5092億円94
4ゴールドマン・サックス5兆2890億円21
5プルータス・コンサルティング4兆9165億円8

  野村HD傘下の野村証券でグローバルM&A責任者を務める角田慎介氏は「コロナ禍の影響で国内案件が多かった。クロスボーダー案件は物理的にやりにくかったが、それでもやらなければならない案件は実行された年」と総括した。親子上場の解消が目立ったとも指摘した。

  親会社による上場子会社を完全子会社化した案件は、NTT以外でも伊藤忠商事によるファミリーマート、日立製作所による日立ハイテク、ソニーによるソニーフィナンシャルホールディングスと金額上位10案件のうち4件を占めた。

もうコロナを言い訳にできない

  21年に入っても、ルネサスエレクトロニクスが英ダイアログ・セミコンダクターを約6200億円で買収すると発表するなど案件は途切れない。UBS証券M&Aアドバイザリー部統括責任者の安藤浩二氏は「昨年12月下旬ごろからクロスボーダーを含め案件が非常に活発。もう完全にコロナ禍を言い訳にできないという段階に入っている」と述べる。

コロナ禍でも盛り返す

四半期ベースのM&A取引金額の推移

出所:ブルームバーグ・データ

注:表は暦年ベース、1Qは1-3月、21年1Qは3月8日時点

  今年の見通しについて、野村証の角田氏は「例えば業界再編、同業同士の今まで踏み切れなかった規模の大胆な案件が出てくるかもしれない」と指摘する。また、リクルートホールディングスが12年に米求人情報検索大手インディードを買収、デジタルトランスフォーメーション(DX)にかじを切った例を示し、「ビジネスのやり方の変革につながる近接業種、または異業種の買収がありそうだ」と述べた。

  こうした考え方の背景として、コロナ禍で人々の考え方や生活様式が変化する中、企業には危機感があると指摘する。注目業界として「しばらく大胆な動きがなかった素材やエネルギー」などを挙げた。

  角田氏は、各国政府がESG(環境・社会・企業統治)を推進する流れも、事業再構築の機運を高めそうだとみている。日本では、菅義偉政権が50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするとの目標を掲げたことなどで自動車やエネルギーなど多くの産業が対応に迫られている。

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