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中国、半導体でも覇権確立に照準-「第3世代」先行で主導権確保図る

  • 「第3世代半導体」のような主導権が確立されていない分野を重視
  • 中国ではTSMCが今後3年で地元勢にシェア奪われる可能性-BI

わずか20年で中国は人間を宇宙に送り込み、空母を建造し、ステルス戦闘機を開発した。新たな超大国は今、半導体分野でも再びその力量を立証しようとしている。

  世界2位の経済大国が挑もうとしているのは、中国の未来にほかならない。北京で5日開幕する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で示される新たな5カ年計画に半導体覇権を狙うための青写真が正式に盛り込まれる。実用面に野心を重ねた多層的な戦略に基づき、米インテルや台湾積体電路製造(TSMC)と肩を並べる半導体メーカーの育成を目指す。核・原子力分野と同じ重要課題とし、米国の対中政策に振り回されないよう取り組む。

習氏、中国テクノロジー革命で欧米依存脱却目指す-全人代が5日開幕  

  中国が重視しているのは、いわゆる「第3世代半導体」のようなどの国もまだ主導権を確立していない分野だ。装置やソフトウエア、新素材などを扱う新たな大企業を育て、優位に立ちたい考えで、究極的な目標は設計ソフトウエアの米ケイデンスや米シノプシス、半導体製造装置でのオランダのASMLホールディングといったその分野の基幹を成すような世界的企業に匹敵する自国企業を誕生させることだ。

China's largest chipmakers climb in anticipation of Beijing's largesse

  半導体の製造・設計分野で中国勢が外国企業に追い付くには何年もかかる。半導体製造装置での日米企業優位に対する答えはすぐには見つからないためだ。中国企業は2020年代末までに国内需要の35%を供給するだけにとどまるとIT(情報技術)調査会社IDCのアナリスト、マリオ・モラレス氏は推計している。

  中国勢はまた米政府とも対峙(たいじ)しなければならない。米政府はITサプライチェーン安定化を目的にトランプ前政権が提案した規則について、3月に実施に移す方針を示唆した。「外国の敵対勢力」が関与する取引を禁じる広範な権限を商務省に与えるものとなる。

米、前政権の規則実施示唆-ITサプライチェーンへの中国の脅威抑制

President Biden Signs Executive Order On Economy

バイデン米大統領(2月24日)

  ただベルギーのデジタル技術研究機関、IMECで社長を務めるリュック・ファンデンホーフ氏は「そうしたことは中国の国内開発加速を刺激するだけで、最終的に中国はさらに強くなるだけかもしれない」と述べ、「世界の二分化をさらに進めようと試みるリスクが確実にあると思う」と指摘する。

バイデン政権、テクノデモクラシー中国包囲網-先端技術で同盟国結集

Chip Bonanza

China will import $300 billion of semiconductors for a third straight year

China Customs

Choke points semiconductors

  エンピリアンなどの中国新興企業は、シノプシスやケイデンスがライセンス供与している必要不可欠なソフトウエアと同等の製品を作ろうと取り組んでいる。コモディティー化されたメモリー分野でさえ、紫光集団の子会社が韓国のサムスン電子や米マイクロン・テクノロジーの量産に挑むため巨額の資金を投じている。

Views Of SMIC Headquarters As U.S. to Blacklist Chipmaker and Dozens More China Firms

SMIC(上海、2020年12月)

  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のチャールズ・シュム、若杉政寛両アナリストによると、中国市場ではTSMCが今後3年で中芯国際集成電路製造(SMIC)など地元勢にシェアを奪われる可能性がある。米中貿易摩擦の激化と制裁リスクを踏まえ米国産テクノロジーへの依存を小さくしたい中国勢は、先端の技術開発を加速させており、ウィル・セミコンダクター(韋爾半導体)や紫光展鋭など国内の半導体設計会社から受注する公算が大きいと分析している。

中国、半導体を3000億ドル輸入へ-米国などから3年連続で

  中国の習近平国家主席は、25年末までに推計1兆4000億ドル(約150兆円)を移動通信ネットワークから人工知能(AI)に至るさまざまなテクノロジーに投じると表明している。その大きな部分が半導体に向かう。

  AIや量子コンピューターのような新たな成長分野の研究を加速させることができれば、中国企業は競争力を確保し得る。そこは第3世代半導体を必要とする領域だ。炭化ケイ素や窒化ガリウムなどの素材から成り、高周波や高電力、高温環境でも動く第3世代半導体は、第5世代の無線周波数や軍用レーダー、電気自動車などで広範な用途がある。

  シティグループのアナリストによれば、従来からあるシリコンベースの半導体が世界での利用の大半を当面占め続けるとしても、中国は第3世代半導体分野で先行者利益を確保する可能性がある。三安光電(サンアン・オプトエレクトロニクス)と国有の中国電子科技集団がこの分野に参入。一方で、米クリー住友電気工業はまだ着手したばかりだ。SMICやウィル・セミコンダクター、ナショナル・シリコン・インダストリー・グループ上海硅産業集団)など他の中国半導体メーカーも手厚い国家支援を受ける。

  IDCのモラレス氏は「中国が行っている投資のコミットメントは、中国半導体のエコシステム(生態系)がわれわれの業界と全体的なIT市場の進展に重要な役割を果たし続けることを確実にしている」との見方を示している。

原題:China Revs Up Grand Chip Ambitions to Counter U.S. Blacklistings(抜粋)

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