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アントは社員の士気低下憂う、ボーナス支給後の退社を懸念-関係者

  • 従業員および退社する社員のための株式買い戻しプログラムを停止
  • 規制は引き続き明瞭さ欠き、同社の未来は依然として不確か

中国のフィンテック企業アント・グループの社員はあと数日で多額の含み益を得るはずだった。今は価値評価が極めて難しい自社株を保有し続けるほかない。

  同社自体でさえ、公正な評価額の判断に苦しんでいる。事情に詳しいアントの幹部によれば、自社の価値をどのように決めるかを巡る不確実性から、アントは従業員および退社する社員のための株式買い戻しプログラムを棚上げした。

  中国当局が馬雲(ジャック・マー)氏のアントが進めていた350億ドル(約3兆7400億円)規模の新規株式公開(IPO)に上場直前で突然待ったをかけてから4カ月。今浮上しているこうした問題は、同社が抱える課題を如実に表している。

  規制は引き続き明瞭さを欠き、同社の未来は依然として不確かだ。そのため、社員の士気は一段と低下しかねない。4月のボーナス支給後、アントは多くの社員が辞めるのではと身構えている。非公開情報だとして匿名を条件に幹部が述べた。

  中国がフィンテックセクターの規制強化に着手してから、アントの見通しが劇的に悪化したことに疑いの余地はないが、新たな規制を取り巻く不透明さにより、その影響を数値化することは困難だ。

  ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、フランシス・チャン氏はIPO中止後、アントのバリュエーション見通しを3回引き下げた。同氏は現在、アントの純資産を1080億ドル未満とみている。昨年11月の上場計画で示唆されていた水準を約60%下回る。

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  一方で、アントと競合する中国テクノロジー大手の数社は最近数カ月で株価が上昇。ストックオプションを持つ従業員に大きな利益をもたらしている。テンセント・ホールディングス(騰訊)の株価は香港市場で4カ月間に約16%上昇。電子商取引の美団は25%高だ。動画アプリ運営の快手科技は2月の上場後、173%上げている。

  予定されていたIPOに向かう中でアントに入社した社員の一部は、上場計画の復活を待ち自社株を持ち続けことはせずに退社している。事情に詳しい関係者が語った。IPOが成功すると期待し、自家車を購入したり、新居の頭金を支払ったりした後で、個人的な財務が圧迫されている従業員もいると関係者の1人は話した。

  アントが11月に上場していた場合でも、従業員の持ち株には3年間の売却禁止期間が課せられることになっていたが、多くの社員はIPO後に株価上昇が続くと見込んでいた。こうした見方は現在、大きく後退している。

  アントはコメントを控えた。

原題:Ant’s Employees Expected a Windfall. They Got Unsellable Shares(抜粋)

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