, コンテンツにスキップする

スズキの鈴木修会長退任、中長期的な会社の方向を見定め後進に道

更新日時
  • 40年以上にわたって経営を陣頭指揮、インド進出決断で高成長を実現
  • 「生きながらえる限りは挑戦を」、鈴木会長らしくユーモア交え話す

スズキは24日、40年以上にわたって経営トップを務めてきた鈴木修会長(91)が会長を退任し、相談役に就任すると発表した。2026年3月までの5年間の新中期経営計画を策定し、会社の中長期的な経営の方向が定まったためとしている。

Toyota Motor Corp. President Akio Toyoda And Suzuki Motor Corp. Chairman Osamu Suzuki Announce Business Partnership

スズキの鈴木修会長(2016年10月12日)

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  スズキの発表資料によると、鈴木会長は6月開催予定の株主総会で退任する見通し。原山保人副会長兼会長補佐も同時に退任して相談役となる予定。

  「生涯現役」と公言してきた鈴木会長は同日のオンライン記者会見で、会長退任後も相談役として会社に残ることから「退任をしても現役でいるわけですから、逃げも隠れもしません」と語った。自身の健康については「昨年ゴルフを47回やっており、ぴんぴんしている。ご安心ください」と述べた。

  鈴木会長は、退任のタイミングについて、昨年3月に創立100周年という「峠を越えた」ことに加え、新たな5カ年中期経営計画の策定を受け「着実な実行を推進するために役員体制を一新して後進に道を譲ることを決めた」と述べた。

  今後のスズキへのアドバイスを問う質問には、自身は勘を頼りに進んできただけで「先見の明はありません」とした上で、有望な市場は無限にあるとし、仕事もプライベートも「生きながらえている限りは挑戦し続けていきましょう」などと、最後まで「オサム節」とも呼ばれたユーモアあふれる語り口で話した。

一刻の猶予もない

  スズキは昨年5月、新型コロナ感染拡大の影響で不確定要素が多いことから、予定していた中期経営計画の発表を延期していた。今回発表された5カ年計画では、電動化を大きな柱として掲げた。

  会見に同席した鈴木俊宏社長は、世界的な脱炭素の流れを受けて、電動化技術の確立には「一刻の猶予もない」と危機感をあらわにした。生き残りに向けてハイブリッド技術の自社開発を進める一方で、必要に応じて提携するトヨタ自動車の技術を活用する考えを示した。

  インド市場については、売れ筋の多目的スポーツ車(SUV)などで他社に後れを取っている分野も出てきているとし、てこ入れのためこれまであまり手掛けてこなかった農村部の需要開拓強化にも取り組みたいと述べた。

  鈴木会長は1930年1月30日生まれ。中央大学卒業後に銀行勤務を経て、2代目社長の鈴木俊三氏の娘婿となり、58年に当時の鈴木自動車工業に入社。78年に社長に就任した。

  国内で軽自動車事業の強化を進めた一方、80年代前半から海外展開も本格化。インドにいち早く目を付けて82年にインド政府と四輪車の合弁生産で基本合意し、83年には地場メーカーのマルチが現地でスズキ車の生産を開始。現在は同国でのシェアでは圧倒的首位の座を維持しており、81年に約5000億円だった連結売上高を3兆円を超える規模まで拡大させた。

  激動の自動車業界にあって比較的規模が小さいスズキとして生き残りを図るため、同業他社とのパートナー探しにも奔走。一時は米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン(VW)と資本提携関係を結んだこともあった。VWとは関係が悪化し、スズキがVWにスズキ株の返還を求めて国際仲裁裁判所に提訴。 同裁判所は15年に包括契約の解除と株返還を認める判断を下した。

  その後、トヨタ自動車と提携関係を結び、19年には相互出資も発表。電動化や自動運転など新技術の台頭で「100年に1度」とも表現されるほどの大変革が進む自動車業界を勝ち抜くべく、自らの手で布石を打っていた。

21年4月~26年3月の中期計画の概要
  • 26年3月期連結売上高4兆8000億円、営業利益率5.5%を目標に
  • 世界販売は四輪370万台(20年3月期285万台)、二輪200万台(同171万台)
  • 配当性向は30%を目標に掲げる
  • 25年までに電動化技術を整え、同技術を製品に全面展開
  • 50年の製造時CO2排出ゼロ目指す
  • 四輪事業は日本で軽自動車シェア30%以上、登録車販売は21年3月期比1.5倍に
  • インドでは電動化を推進、乗用車シェア50%以上目指す
  • マリン事業は売上高目標1000億円を目指す
(新中期計画や会見の内容などを追加して更新します)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE