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日銀オペ減額で投資家は疑心暗鬼も、社債市場の新たな不透明要素に

  • 当日の減額は対応困難、今後の減額への懸念広がる-アセマネOne
  • 日銀は金額の公表時期早めるなど丁寧な対話必要-三菱モルガン

国内社債市場関係者の間で、ことしは新型コロナウイルス感染拡大の先行きのほかに新たな不透明要素が浮上しつつあるとの見方が広がっている。それは、日本銀行が社債オペで毎月総額5000億円の買い入れを継続するのかどうかという点だ。

  日銀は17日に実施した残存3年超5年以下の社債オペで、買い入れ金額を当初公表していた2000億円から1500億円に減らした。毎月末に目先のオペ日程をホームページに掲載し、買い入れ予定額も明らかにしている。その上で、オペ当日に実際の買い入れ額を正式発表する。このため今回も減額が市場参加者に伝わったのはオペ当日の午前中になってからだった。

  「これはサプライズ」。アセットマネジメントOneのファンドマネジャー、加藤晴康氏は、案分(最低落札)レートの過度な低下を避ける必要性には理解を示した上で、「買い入れ額を減らすより下限利回りなどの設定が先だと思っていた」と話す。金額を変えてしまうとコロナ禍での企業の資金繰りを支援する政策の転換期が近いとの誤解を与えかねないためだ。

  加藤氏は、投資家は証券会社を通じて日銀に手持ちの社債を売却するため直前の金額変更には対応できないと話す。昨年5月以降、日銀が毎月5000億円を一貫して買い入れてきたことが投資家の安心感につながっていたが、今後「日銀が買い入れ額をさらに減らすのではないかという恐怖をマーケットに植え付けてしまった」と指摘。先行きが不透明になると「政策の効用を落としかねない」と危惧する。

日銀の社債買い入れ水準はゼロに接近している

残存3年超5年以下の社債オペの案分レート

日本銀行

需給はタイト

  年明けから中期債発行はやや少なめで、今回の減額の背景には応札ニーズの減少があったとみられる。日銀の17日午後の発表によると、応札結果は2776億円と、予定通り2000億円の買い入れを続けていれば応札倍率はこれまでの最低になっていた水準。

  日銀は市場実勢に応じて柔軟に動く方針で、国債やコマーシャルペーパー(CP)でもオペ当日に買い入れ額を減らした例はあった。社債オペで中期債の発行を上回る規模の買い入れを続ける姿勢自体は大きく変えておらず、低金利環境の長期化による利回り追求の強まりもあり社債需給は逼迫。低利発行は続き、5年債でも利率0.1%を割り込む事例も出てきている。

  朝日ライフアセットマネジメントの辻野勝之氏は、日銀が買い入れを減らしたところで「足元の需給が緩むかといわれるとそれは全くない」とし、「応札ニーズの少なさは日銀にとっても驚きだったのではないか」とみている。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の池崎陽大デット・キャピタル・マーケット部長は、新型コロナの影響が長引き「企業の資金確保ニーズは依然高く、来年度も社債発行は高水準が見込まれる」と指摘。オペ対象となる社債の起債や投資には、オペの時期や買い入れ額が大きく影響するとし、買い入れ額の見通しが不透明だと「投資家の慎重姿勢を誘発する可能性が高くなる」ため、日銀は金額の公表時期を早めるなど、市場と丁寧に対話する必要があると述べた。

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