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ユニゾ巡る戦いの第二幕、ローンスターに挑む香港ヘッジファンド

更新日時
  • EBOで注目浴びたユニゾ、今度は社債で表舞台に
  • 一部社債は約22円で取引される、5月に100億円の償還も

昨年非上場となった不動産会社、ユニゾホールディングスの残存する1000億円近い社債を巡り、香港に拠点を置くヘッジファンドが米投資ファンドのローン・スターを相手に、新たな戦いを仕掛けている。同社債券は2027年にかけて順次償還を迎えるが次の償還は5月に迫っている。

何が起きているのか:

  前回、ユニゾが注目を浴びたのは、2019年から20年にかけて繰り広げられた同社の買収合戦だ。米大手投資会社のブラックストーン・グループとローン・スター、そしてソフトバンクグループ傘下のフォートレス・インベストメント・グループが争った。最終的に勝利したローン・スターは、ユニゾの従業員による買収(EBO)という形で買収資金を提供した。

  ブルームバーグはこのほど、香港のヘッジファンド、アジア・リサーチ・アンド・キャピタル・マネジメント(ARCM)が、2月8日付でユニゾやローン・スターに送った書簡を入手した。それによると、ARCMはユニゾが発行した債券47億円を保有していると主張、その上でユニゾを債務超過だと分析している。同社はPR会社を通じて書簡を送ったことを認めた。

  ユニゾが昨年12月に関東財務局に提出した半期報告書によると、ユニゾはローン・スターが買収資金(優先株550億円、融資1500億円)を拠出した買収目的会社のチトセア投資に対して、8月から9月までの間に約530億円の配当を支払ったほか、短期貸付金2160億円を実行した。

  ローン・スターの広報担当者は、ARCMからの書簡の有無やユニゾから投資資金を回収したかどうかについて、コメントを控えた。

  ARCMは、チトセア投資に実施した2160億円の短期貸付金をユニゾに返却する能力があるかどうかや、返却のためにローン・スターが資金支援する保証を行っているかどうかについて、書簡の受領後7日以内に詳細を提供するよう要求した。

何が大事な問題なのか:

  問題は、ユニゾの社債や貸出債権の多くを財務力のぜい弱な地方銀行や信用金庫、信用組合などの規模の小さな金融機関が保有していることだ。低金利の長期化に加え、新型コロナウイルスの拡大もあり、地銀を取り巻く収益環境は厳しい。 

  昨年6月に上場廃止されたユニゾには990億円の社債が残存し、今年5月にはそのうちの100億円が償還を迎える。ブルームバーグのデータによれば、一部の社債は、発行価格100円に対して約22円と大きく下落して推移している。

  同社の債券で減損損失を計上したり、貸出債権に引き当てを積んだりすることになれば、さらに利益を圧迫しかねない。高知銀行は1月、2020年4-12月期に11億3800万円の有価証券の減損処理を実施すると発表した。同行広報担当者によると、一部にユニゾ社債が含まれるという。

  ユニゾへの融資総額約1960億円のうち、約6割を地銀が占めることがブルームバーグの入手した資料で分かった。同社は銀行団に200億円の借り換えを要請しており、取引先地銀への影響が懸念されている。

ユニゾHDの既発債償還スケジュール

ブルームバーグデータ

発行額ベース

ユニゾに融資する6割が地銀、65行の損失リスク握る借り換えの行方

  ユニゾが非上場化したスキームは、外資系投資ファンドをスポンサーにしたEBOを活用した日本初のケースだ。20年5月のユニゾの臨時株主総会招集通知によれば、ローン・スターと組んだ理由として、ユニゾの従業員保護を図ることが見込まれ、企業価値のさらなる向上が期待される記されていた。
 
  だが、これがほごにされたとすれば、海外企業による日本企業買収の今後にも影響を与えかねない。合併を監視する金融当局の目が強まる可能性もある。

格付け会社の見方は:

  日本格付研究所(JCR)は昨年12月、ユニゾの長期発行体格付けと債券格付けを非投資適格の「BB+」に引き下げた。JCRは、財務構成の悪化状況、安定収益源のオフィスビル売却やキャッシュフロー創出力の低下、金融機関との関係強化の重要性が増しているなどと説明した。

(ARCMの書簡の内容に関する記述と債券の償還表を加えました)
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