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人気のESG債、甘すぎる環境目標は信頼性脅かす-投資家にも責任

  • 容易に達成可能、または既に達成済みの目標を設定する企業も
  • 「グリーン」と呼べる資産を求める投資家は見て見ぬふり

環境に関する目標に連動した債券の発行が増えているが、発行体が設定する目標が低すぎることや投資家がそれを軽視する傾向が、その信頼性を脅かしている。

  こうしたサステナビリティーリンク債(SLB)の市場規模は今年、13倍の1200億ドル(約12兆7000億円)に拡大するとJPモルガン・チェースが予想している。しかし容易に達成できる、または事実上既に達成している目標を設定する企業も多いとの批判がある。投資家側は「グリーン」と呼べる資産を求めているために、見て見ぬふりをしがちだ。

サステナビリティー・リンク債、ESGの新たな最前線に-JPモルガン

  ジュピター・アセット・マネジメントの環境ソリューション責任者、リス・ペタラム氏は「これらの債券のレベルと目標がどうあるべきかに、市場全体でまだ共通認識がない」と指摘。「正しい認識を確立することは本当に重要だ。そうしなければ単なる象徴にすぎず、ほかの債券と何ら変わらない」と話した。

  国際資本市場協会(ICMA) は昨年6月に公表したガイドラインで、債券の目標は「平常運転の軌道」を超えた「実質的な改善」であるべきだとしている。同時に、満期までに現実的に達成が可能な目標でなくてはならない。

  ペタラム氏は英スーパーマーケットチェーン大手テスコによる最近の起債を取り上げ、二酸化炭素排出量の目標は既にほぼ達成されていたと指摘した。M&Gのチャールズ・デキンソナス氏も、ブラジルの製紙会社スザノが昨年発行したSLBについて、環境問題を考慮したことを評価しながらも、目標が低すぎる可能性を指摘した。

  フランクリン・テンプルトンの欧州債券責任者、デービッド・ザーン氏は「KPI(重要業績評価指標)連動債は好ましいが、何に、どこで、どのようにリンクされているかで違ってくる」と述べた。設定された目標に達しなかった場合のペナルティーも、「比較的低い」可能性があると付け加えた。

SLB Sales

Five largest euro sustainability-linked bonds issued so far

Source: Bloomberg

  豊富な資金を持つ投資家は昨年、環境・社会・ガバナンス(ESG)をテーマとした債券に過去最高の3470億ドルを投じている。しかしこうした投資家は、控えめな目標であっても目をつぶろうという誘惑に抗しなければならない。国連責任投資原則(PRI)事務局の債券部門責任者、カルメン・ヌッツォ氏はサステナビリティーというラベルの付いた債券を購入するだけでは不十分だとして、そうした債券の「購入にはたくさんの『宿題』が付随し、発行後もサステナビリティーの約束が守られているか監視する必要がある」と語った。

原題:ESG Debt Boom Sparks Worry Firms Get Away With Bare Minimum (1)(抜粋)

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