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米財務省の政府預金残高圧縮の取り組み、連邦準備制度に頭痛の種にも

  • 1.6兆ドル前後の現金残高を6月末までに5000億ドルに削減する計画
  • 短期金融市場の金利はさらに低下し、マイナス圏に落ち込む可能性も

米財務省は3日、四半期定例入札計画の発表に当たり、連邦準備制度の政府預金口座(TGA)に現在預け入れている1兆6000億ドル(約169兆円)前後の現金残高について、6月末までに5000億ドルに減らす方針を示した。

  新型コロナウイルス禍とそれに伴う深刻なリセッションに対処するために蓄えた現金残高の規模をもっと通常の水準に戻すことを狙ったものだが、こうした動きによって金融システムには流動性が溢(あふ)れ、短期金利を管理する金融当局の取り組みにも影響が生じることが予想される。

  既に低水準にある短期金融市場の金利はさらに低下してマイナスとなる可能性もあり、イエレン財務長官率いる同省の発表が、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとする金融当局者にちょっとした頭痛の種をもたらすことになりそうだ。

  その仕組みを見ると、財務省が振り出した小切手の受領者が受取資金を取引銀行に預け、その銀行が連邦準備制度にこの小切手を渡せば、TGAから引き落とされた資金は銀行が連邦準備制度に持つ口座に準備預金として記帳される。

  国際通貨基金(IMF)のシニアエコノミスト、マンモハン・シン氏は「財務省の口座から引き落とされた現金は連邦準備制度を経由して全て市場に向かうことになる。それにより、短期金利は低下するところまで押し下げられるだろう」と語った。

Treasury's cash balance is expected to fall by hundreds of billions of dollars

  連邦準備制度は新型コロナ禍の打撃を受けた経済を支援するため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標をゼロ近辺に引き下げたが、短期金利がマイナス圏に落ち込めば、期間が短めの米国債に投資するマネーマーケットファンド(MMF)を中心に混乱が広がる恐れがある。

  また銀行について見ても、自らが望まない多額の現金残高を抱えることを実質的に余儀なくされ、不自由を感じることにもなりそうだ。

  クレディ・スイス・グループのアナリスト、ゾルタン・ポズサー氏は財務省の決定について、金融システムと連邦準備制度のバランスシート上に準備預金の「津波」を引き起こすことになるとの見通しを示した。準備預金残高は現時点でも3兆3000億ドルと高水準にあるが、連邦準備制度の資産購入プログラムと組み合わせれば、6月末には5兆ドル近くに膨らむ可能性がある。

原題:Yellen Shift on Vast Treasury Cash Pile Poses Problem for Powell(抜粋)

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