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脱化石燃料掲げるゲイツ氏、投資の完全撤退は難航-宣言ほど進まず

  • 2015年に投資引き揚げ決定も、外部運用分や投資信託分が依然残る
  • プライベートジェット関連など石油依存企業には引き続き投資

マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏は2015年、化石燃料からの投資を引き揚げて気候変動対策をいっそう強く働き掛けていくことを決定した。だがゲイツ氏はまだ石油やガスからの投資撤退を完了していないばかりか、二酸化炭素を大量に排出する別の産業に投資している。

  世界3位の富豪であるゲイツ氏は新著「How to Avoid a Climate Disaster」で、気候変動対策としての投資引き揚げに懐疑的だった自分が、最終的にその考えに行き着くまでの経緯を語っている。ゲイツ氏がその約束を履行しようとする様子は、超富裕層らにとって完全な脱化石燃料がどれほど難しいかを浮き彫りにする。

  ゲイツ氏は「2019年に個人として直接保有していた石油・ガス企業の資産は全て手放した。ゲイツ財団の資産を管理する財団も同様だ」とし、石炭企業の株式は「数年間」持っていなかったと新著に記した。だがゲイツ財団の保有資産に関する届け出文書によると、19年末時点で同財団はエクソンモービルやシェブロン、BPなど石油・ガス企業の株式や債券を依然1億ドル(約105億円)余り保有していた。同財団は化石燃料関連投資の合計額を明示していない。

  ゲイツ家の広報担当者は投資引き揚げ過程に関する質問に対し、「ゲイツ氏は2019年に自身が直接保有する石油・ガス会社の資産を全て売却すると決定した」としつつ、「ごく少数の株式と債券の持ち分については、外部の資産運用者と協力して管理している。これらの運用者は独立して動いており、その投資についてゲイツ氏は指示していない」と説明した。

Bill Gates

ビル・ゲイツ氏

写真家:Inga Kjer / Photothek / Getty Images

  

  財団の総資産は19年時点で400億ドルに上るため、この化石燃料関連の資産が占める比率は極めて低い。だが約12億ドルが投資信託に投じられており、こうした投資信託が間接的に化石燃料企業の株式を保有している可能性がある。

  投資引き揚げは単純なプロセスではない。大企業や富裕層に化石燃料への支持をやめるよう呼び掛ける活動家らが、完全な投資撤退まで最長5年の猶予を認める傾向があるのはこのためだ。非営利団体フォッシル・フリー・メディアのディレクター、ジェイミー・ヘン氏は「われわれは2012年に投資引き揚げキャンペーンを始めたが、大規模な資産を保有する側にとっては難しかった」とし、「一部の投資を維持し、引き揚げはゆっくりと進める必要があるとの認識だった」と語った。

  世界が炭素集約型エネルギーにどれだけ依存しているかを考慮すれば、化石燃料への投資をゼロまで引き下げることは依然として至難の業だ。ロックフェラー・ブラザーズ・ファンドは2014年、化石燃料からの投資撤退を発表したが、着手から5年たった後も資産の0.05%が引き続き投資されていることが同ファンドの調査リポートで明らかになった。着手前の比率は約6.6%だった。

  ゲイツ氏は化石燃料企業から距離を置こうとしているが、化石燃料に依存する企業への支援は続けている。例えばプライベートジェット駐機場の運営で世界最大のシグネチャー・アビエーションの約19%を、同氏は保有している。

原題:
Bill Gates Shows How Hard It Can Be to Divest From Fossil Fuel(抜粋)

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