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トヨタなど450社導入、ヤプリCEO成長強調-投資家収益見極め

更新日時
  • 今期は33-35%の増収計画、マザーズ上場後初めての通期決算発表
  • 庵原CEO、40%増収維持へ成長投資優先-前期は39%増収

プログラミングなどの専門知識がなくてもスマホアプリを導入できるツールを提供するヤプリは15日、東証マザーズに上場以来初の決算を発表した。庵原保文代表取締役CEOは収益の成長余地を強調するが、株価は調整局面にあり投資家は収益を見極めようとしている。

  15日開示した前期(20年12月期)決算は売上高が23億9000万円と39%の増収、営業損失は5億9000万円だった。今期予想は33-35%の増収、営業損失は拡大する。アプリ制作費と月額利用料が収益基盤のヤプリは市場規模を1000億円程度と見積もる。庵原CEOは「われわれはシェア1%程度で、成長余地は大きいと感じる」とブルームバーグのインタビューで述べた。40%増収維持へマーケティングやエンジニア採用といった投資を優先させる方針で、決算もこれに沿った数値になった。

Yappli handout photos

ヤプリのオフィス

Source: Yappli Inc.

  菅政権が急ピッチで進めるデジタル化政策でヤプリに追い風が吹く。アプリ導入企業はトヨタ自動車やNEC、アンダーアーマーといった450社以上に達した(20年12月の時点)。会社側は今後3年程度で1000社を目標に掲げ、その後の海外展開も視野に入っている。それでも昨年12月上場後の株価は1月に最高値を付け、そこから現在は2割近く値下がりした。

  auカブコム証券の河合達憲チーフストラテジストはヤプリについて「企業のDX化にマッチした銘柄で成長性に関しては期待できる」としながら「上場直後ということもあり投資家は慎重な姿勢でいる」と指摘した。売上高の成長率もハードルが上がって達成が難しくなってきており、21年度の業績予想をどの程度で設定してくるかを投資家は冷静に見極めたいところだとした。

株価

  15日の東京株式市場でヤプリ株は一時6.9%高の6670円と大幅高となり、終値も6.3%高の6630円だった。東証マザーズ指数が小幅上昇にとどまる中、半月ぶりの値上がり率を記録した。

  証券ジャパンの大谷正之調査情報部長は、市場全体で大型株への物色が一巡し、マザーズ市場でも比較的時価総額が大きい銘柄を中心に買いが広がっていると分析。特にヤプリは庵原CEOのビジョンが決算発表前に改めて明らかになったことで成長期待が持てるとみる投資家が資金を振り向けていると話した。

ヤプリの株価

追い風

  ヤプリのアプリは顧客へのアクセスを目的としたマーケティング支援、企業内の情報伝達や業務効率化というビジネス支援に分類される。現在売り上げの15%程度のビジネス向けを増やす戦略だ。庵原CEOは「IT企業ではない日本のほとんどの企業でデジタル投資の重要性が認識されながら担い手がいないという最大の構造的問題を抱えている」として、それを解決するのがノーコードだと指摘した。

Yappli handout photos

庵原CEO

Source: Yappli Inc.

  大和ロイヤルホテルを運営する大和リゾート営業本部WEB・広告宣伝部部長の冨田幸雄氏らは、ヤプリのリピーター獲得モバイルアプリ導入を決めた。ヤプリのサイトによると「わざわざ数千万円を投じてスクラッチ開発しなくてもいいのではないか」との判断だ。「運用や更新に手間がかからないからこそ、いかに顧客体験を向上できるかという、本来一番考えるべき領域に集中できている」と評価している。

  企業はヤプリを通じて、システム構築を一貫して請け負う大手に開発を依頼したり、専門エンジニアを雇ったりするよりも低価格で効率的に自社アプリを持つことができる。現時点でアプリ制作で直接の目立った競合企業はない。

  庵原CEOはヤプリについて「開発から運用支援まで一括でリーズナブルな価格で提供できることが圧倒的な強み。これこそが支持されている大きな要因」と述べた。菅政権のデジタル化戦略では、クラウドサービスを利用した場合の減税措置など、これまでになかったような施策がでてきているとしている。こうした好環境を収益に反映させることができるかどうかが、ヤプリの株価水準を決める。

(15日の終値と取引終了後に開示された決算内容を追加して更新します)
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