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ウォール街は仮想通貨をまだ静観、テスラ投資でビットコイン急騰

更新日時
  • 価格乱高下がリスク、大手6行は先物へのアクセス提供せず
  • JPモルガンはダイモンCEOの「詐欺」発言からかなり方向転換

仮想通貨ビットコインは電気自動車(EV)メーカーの米テスラによる今週の15億ドル(約1570億円)相当の購入をきっかけに最高値に急騰。声高に支持する人々の多くは「月まで届く」という予測が実証されたと感じた。ただ大手米銀にとっては、ビットコインの見通しは明らかにもっと足が地に着いたものだ。

  大手行は依然、仮想通貨にほとんど尻込みした状態だ。ビットコインと、仮想通貨で2番目の規模を持つイーサの先物は主要取引所で利用可能だが、大手6行では1行も顧客にアクセスを提供していない。

  彼らが敬遠するのは驚きではないだろう。銀行はそもそも仮想通貨パーティーに招かれていなかった。ビットコインの基盤作りに役立った2008年の文書で「サトシ・ナカモト」と称する開発者は「電子キャッシュの純粋なピアツーピア版なら、金融機関を経由せずにオンラインで支払額を一方の当事者から他方の当事者に直接送ることができる」と述べている。

  銀行が依然としておおむね静観している理由は他にもある。ビットコインが登場してこれで11年余りだが、実際に購入できるものはごく少数だ。しかも、ボラティリティー(変動性)が大きなリスクだ。テスラさえ、購入を開示した届け出で言及している。

  米銀大手での仮想通貨の現状を以下にまとめた。

JPモルガン・チェース

  米銀最大手のJPモルガン・チェースは最も進んでいる。

  同行は昨年、ビットコイン事業者の銀行サービスへのアクセスを禁止していた業界の慣行を捨て、仮想通貨取引所のコインベースとジェミニトラストを銀行取引顧客として受け入れることに合意した。この決定は両取引所による米国での現金管理を支援することを意味したが、JPモルガンは依然として仮想通貨取引の処理は一切行わない。

  それでも、ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)がビットコインを「詐欺」と呼び、従業員による取引を見つけたら解雇も辞さないと17年に発言した当時に比べれば、かなりの方向転換だ。ダイモン氏はその後この発言を後悔していると述べ、今ではブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用できる多くの方法を見いだしていると話している。19年に公表した法人決済での仮想通貨「JPMコイン」の活用もその1つだ。

  昨年12月には、米国債の日中レポ取引に自社設計のブロックチェーンを使用していることも明らかにした。JPモルガンはイーサリアムの企業利用を進めるエンタープライズ・イーサリアム・アライアンス(EEA)の創設メンバーでもある。

ゴールドマン・サックス・グループ

  3年前、 ゴールドマンは従業員や顧客の間で仮想通貨の理解を深めることを目標に仮想通貨トレーダーを雇った。同社は以前、デジタル通貨でマーケットメイクを行うためにトレーディングデスクを立ち上げる必要性を検討していた。

  ただ最近では、ビットコインを資産クラスとして扱う案を重視しておらず、価格の乱高下から、本物の価値の単位ではないことが証明されていると指摘している

モルガン・スタンレー

  モルガン・スタンレーのジェームズ・ゴーマンCEOはウォール街で最初にビットコインに信用を与えたリーダーの1人で、17年の時点で単なる流行ではないと述べていた。同行はビットコインに結びつけたスワップベースの商品を取引する案を検討したが、結局進めなかった。

ウェルズ・ファーゴ

  ウェルズ・ファーゴの広報担当、ロジャー・カブレラ氏によれば、同行は預金口座や保管口座などで暗号資産を受け入れていない。だが、トランザクションや透明性、決済の技術革新の可能性について基本的技術を評価する研究を実行中だと付け加えた。

シティグループ

  シティグループのCEOだったマイケル・コルバット氏は昨年12月にブルームバーグとのインタビューで、一部の仮想通貨は引き続き異なる決済の形式として使われるだろうと述べ、同行は各国政府とソブリン・デジタル通貨の開発で協力し始めたことを明らかにしていた。

バンク・オブ・アメリカ

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)のキャシー・ベサント最高執行・技術責任者(COTO)は19年にCNBCとのインタビューで、同行が分散台帳技術で約90の特許を取得しているにもかかわらず、ビットコインなどのデジタル資産の利用は「厄介」であり、ブロックチェーンに「弱気」だと述べていた。

見通し

  ウォール街はまだほとんど静観姿勢ではあるものの、「月まで届く」との期待が現実になれば無視できないだろう。テスラによる15億ドル相当の購入分は、ビットコインの過去1年間のリターンが再現されれば1年後に55億ドル相当に拡大し、過去2年間のリターンが繰り返されるなら2年後に約180億ドルに膨らむ計算だ。

原題:Wall Street Stays on Crypto Sidelines as Tesla Boosts Bitcoin(抜粋)

(ウェルズ・ファーゴとシティ、BofAの状況を追加して更新します)
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