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6G主導権争い、早くも熱気-米、次の「軍拡競争」で失地回復狙う

  • ATISは昨年10月、「ネクストGアライアンス」を始動
  • 民主主義陣営、独裁政権が5Gをどのように利用するか懸念強める

第5世代(5G)移動通信の世界的な本格普及はこれからだが、通信テクノロジー分野での次の主導権争いはすでに熱を帯びている。

  最初に第6世代(6G)を開発し特許を押さえた国や企業が、次の産業革命を迎えるとも言われる通信業界で最大の勝ち組となれる。実現に至るまで少なくともあと10年はかかるだろうが、5Gピークスピードの最大100倍速い6Gで、リアルタイムのホログラムや空飛ぶタクシー、インターネットとつながった人体や脳といった長い間サイエンスフィクションが描いてきた世界が出現する可能性もある。

Network Innovation

Reflective surfaces may help transmit terahertz signals that don’t travel very far

Sources: Samsung, Institute of Electrical and Electronics Engineers

  まだ理論的な提案にすぎない6Gだが、共闘を探る動きはすでに活発化。地政学が米中を中心とするテクノロジーの対立をいかにあおっているかを如実に物語っている。ノキアのベル研究所でアクセス・デバイス責任者を務めるピーター・ベッター氏によると、「この取り組みは非常に重要で、軍拡競争の側面」もあり、「競争力を維持するためには研究者軍団が必要」になる。

  米国のトランプ前政権は華為技術(ファーウェイ)など中国のテクノロジー企業に対し厳しい措置を打ち出したが、中国が5Gで世界をリードする地位に浮上するのを止めることはできなかった。だが6G開発はワイヤレス技術で米国に失地回復の機会を与えることにもなり得る。

Experimental Band

Terahertz waves could meet 6G’s speed, latency requirements

Sources: Ofcom, CB Insights, 4G.co.uk

  米コンサルティング会社フォレスト・アンド・サリバンの情報・通信テクノロジー担当シニア産業ディレクター、ビクラント・ガンジー氏は「5Gと違い、今度はそう簡単に北米が主導権移行の機会を逃すことはない」と指摘し、「6Gの主導権争いは5Gより熾烈(しれつ)になる公算が大きい」と述べる。

データ巡る米中対立、世界経済の形変える可能性-市場はすでに覚醒

6G主導権争い

Markets: China Open.” (Source: Bloomberg)

  2019年に当時のトランプ大統領は「できるだけ早く」6Gが欲しいとツイートしていた。中国は6G伝送電波を試すため昨年11月に衛星を打ち上げたほか、ファーウェイはカナダに6G研究センターを置いたとカナダのメディアは伝えた。

Next Arms Race

 

  米政府はすでに6G戦線の在り方を検討し始めている。米国の通信技術の標準化に取り組む電気通信標準化連合(ATIS)は昨年10月、「ネクストGアライアンス」を始動させた。「6Gで北米のリーダーシップを推進する」ためだ。参加したのはアップルAT&Tクアルコムグーグルなど米国勢に加え、韓国のサムスン電子などだ。

  ファーウェイは加わっておらず、5Gを巡る対立を反映したアライアンスだ。ファーウェイは否定しているものの、同社に情報を窃取されるリスクがあると米国は主張。米国をはじめとし、日本やオーストラリア、スウェーデン、英国などが同社を5Gネットワークから締め出した。一方、ロシアやフィリピン、タイ、そしてアフリカ・中東の国々はファーウェイを歓迎している。

中国の攻撃でナンバーワン企業破綻か、トップ継いだのはファーウェイ

  欧州連合(EU)は昨年12月、フィンランドのノキアが主導する6Gワイヤレスプロジェクトを発表。スウェーデンのエリクソンやスペインのテレフォニカなどが参加する。

Next Arms Race

  ファーウェイなど中国企業への不信が6Gで小さくなる可能性は低い。民主主義陣営は大掛かりなドローン監視などを6Gが可能にすることを警戒し、独裁的な政権が5G技術をどのようにして利用するかについて懸念を強めている。すでに監視カメラや人工知能(AI)、顔認識、音声サンプル、DNAなどの生体認証を使い、市民を追跡・統制しているのが中国だ。

  「中国は現在、監視と抑圧であらゆることをしているが、将来的に欧米の市場で確実に敗れるためにそうしているかのようだ」との見方を示すのはEUの行政執行機関、欧州委員会でデジタル社会とサイバーセキュリティーを担当したポール・ティマース氏だ。今はブリュッセルのシンクタンク、欧州政策センターの上級顧問を務める同氏は、これこそが「6Gへの技術的アプローチが国家のイデオロギー目標から切り離されていると信じることができない証左だ」と話している。

The G Factors

原題:The World’s Next ‘Arms Race’ Will Be All About 6G Dominance(抜粋)

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