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音声SNS「クラブハウス」が人気、デジタル相や企業幹部も活用

更新日時
  • 「手探りなところあるがやってみたい」、平井氏が公開勉強会を開催
  • ソフトバンクG孫社長もアカウント開設、同社役員らもフォロー

米シリコンバレーのテック業界関係者や投資家を中心に利用が広がった招待制音声交流アプリ「クラブハウス」。1月下旬から日本国内で利用者が急速に増え、スタートアップ企業や政府の幹部、エンターテインメント業界にも新たなツールを試用する動きが広がっている。

In this photo illustration the Clubhouse app logo is seen

クラブハウスのアプリ

  モバイルアプリの分析会社センサータワーによると、クラブハウスのアプリのダウンロード数は先週44万と国内首位となった。メッセージ機能はなく各自が興味のある「ルーム」に入ることで部屋の中の議論をラジオのように傍聴したり、会話に参加したりすることができる。

  携帯電話番号を介した紹介制となっており、アプリの提供は現在、米アップルの携帯端末用基本ソフト(OS)「iOS」版のみ。グーグルの「アンドロイド」OSをベースにした端末やウェブサイトからの利用はできない。

  平井卓也デジタル改革担当相は9日夜、「デジタル庁への期待」をテーマにした有識者との勉強会をクラブハウス上で開催。設けられた部屋には約2600人の聴衆者が参加した。平井氏はクラブハウスについて「手探りなところはあるがやってみたい」と述べ、今秋発足するデジタル庁に「新しい価値に生きがいを感じる人に集まってもらいたい」と求める人材像について話した。

  同席した慶応大学の村井純教授は、世界的な利用が始まったばかりの新しいアプリで制約もあり「チャレンジングなSNS」だと評した。同氏はインターネットの黎明(れいめい)期から技術基盤の整備や普及に尽力した功績から「日本のインターネットの父」として知られている。30分の予定で始まった勉強会は平井氏の夕食の献立にまで話が膨らみ1時間に及んだ。

緊急事態宣言下の孤独感

  モバイルオンラインゲームなどを手掛けるグミの国光宏尚会長も活発にクラブハウスを利用している。同氏は、緊急事態宣言下で孤独を感じている人が多く、他人と会話したり他の人の話を聞いたりしたいという気持ちが高まっていることが人気の背景にあると指摘。ユーチューブとは異なり自身の姿を見せる必要がないことから「シャイな日本人にとっていいのかもしれない」と分析している。

  芸能人やソーシャルメディアのインフルエンサーが積極的にクラブハウスの利用を始めているほか、メルカリの山田進太郎最高経営責任者(CEO)、BASEの鶴岡裕太CEOなどIT系企業の幹部も続々とアカウントを開設している。

  ソフトバンクグループの孫正義社長もユーザーとして登録しており、同社の幹部や社員、投資先の経営者らも孫氏のアカウントをフォローしている。

  ソフトバンクGの決算発表会見は孫社長のユニークなビジュアルによるプレゼンテーションで知られており、会見の様子はユーチューブなどで一般向けに公開されている。8日午後の記者会見時には、クラブハウス上にもソフトバンクGの決算について議論する部屋が複数立ち上がっていた。

  エンターテインメント業界でも新たな試みが生まれている。音楽ユニット「m-flo」メンバーのTaku Takahashi氏は7日、初対面同士のミュージシャンや歌手などを集めた即興の音楽セッションイベントをクラブハウス上で開催した。

  音声に若干のタイムラグがあるものの遅いテンポの曲であればクラブハウスを介した遠隔の音楽セッションが成立することが分かり、「新しいプラットフォームとして今後の広がりを感じている」と話した。新型コロナウイルス禍でライブの機会が減少する中で、海外のアーティストとのコラボレーションも容易なことから、アーティストにとっては国内外に知名度を広げるための突破口にもなるとみている。

  センサータワーのデータによると、2月第1週のクラブハウスのダウンロード数は1月全体と比較して韓国で2233%増、台湾で1764%増となった。急増はアプリが新しいコミュニケーション機会を生み出したことを示しているが、持続性については疑問が残る。アプリのアップデートや収益性確保に向けた戦略の構築が今後の鍵となる。

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(第8段落に孫正義氏のアカウントについて追記して更新します)
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