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ルネサス、6200億円で英ダイアログ買収-低電力技術など取り込み

更新日時
  • 1株67.50ユーロ、5日のダイアログ株終値を20.3%上回る水準
  • ルネサス、2700億円の株式発行枠を登録-買収資金などに充当

ルネサスエレクトロニクスは、英ダイアログ・セミコンダクターを1株67.50ユーロで買収することで合意した。両社が8日発表した。取得価格はアドバイザリー費用などを除いて約6157億円(48億8600万ユーロ)になるという。

  買収は全て現金で行われ、ルネサスは新株発行による資金調達を予定している。ルネサスの提示価格は5日のダイアログ株終値(56.12ユーロ)を20.3%上回る水準。

  ルネサスの発表資料によると、同社製品と補完関係のあるダイアログの低電力やコネクティビティ―技術を取り込んで製品ポートフォリオを拡充し、網羅的なソリューションを提供する。エンジニアなどの人材を獲得して新製品の市場投入を効率化する狙いもあるという。2021年末までの買収完了を予定している。

  同社は同日、2700億円の株式発行枠の登録についても開示。ダイアログ買収のための資金や同買収の資金として実施する借り入れの返済に、手取り金の全額を充当する予定としている。

  ルネサスの柴田英利社長兼最高経営責任者(CEO)は8日の会見で、ダイアログとは技術的にも「相互補完的な関係があり、シナジーの創出がスムーズに予見できる」と指摘し、独禁法上の大きな障害はないと考えていると述べた。年間で生まれる1500億円から2500億円程度のフリーキャッシュフローも返済に回すことで、財務リスクも問題ないレベルに止まるとの見方を示した。

  ルネサスは車載向け半導体に加え、IoTや産業、インフラ分野での事業領域の拡大を目指している。17年にアナログ半導体が強みの米インターシルを3000億円超で、19年には米インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)を7000億円弱で買収するなど合併・買収(M&A)を活用した事業拡大を進めている。

  ルネサスは10年に日立製作所、三菱電機、NECの半導体部門を統合して設立。官民ファンドの産業革新機構(現INCJ)が13年に出資して議決権の69%を保有し経営再建を主導してきたが、段階的に売却を進めており、現時点の保有比率は約32%まで低下した。トヨタ自動車やデンソーも出資する。

  ブルームバーグの集計データによれば、半導体企業が関連するM&Aの総額は昨年、前の年との比較で2倍余り膨らみ1440億ドル(約15兆円)に達した。9月には米エヌビディアが半導体設計の英アームを400億ドルで買収することで合意。ソフトバンクグループと同社のビジョン・ファンドが保有するアームの株式を取得するもので、半導体業界では過去最大規模のM&Aとなる。

  各国が半導体など戦略的産業を保護しようとする姿勢を強める中で、いかなる取引も英規制当局による厳しい審査を受けそうだ。エヌビディアによるアーム買収計画については英国の競争市場庁(CMA)が調査に入る。CMAはテクノロジー関連の戦略的な案件については規模にかかわらず、より厳密な審査を行う方針を示していた。

  また、ジョンソン英政権は外国勢による対英投資を取り消す権限を閣僚に付与する強力な新法の立案作業を進めている。英国の重要資産を敵対的な外国勢が握ることを阻止するのが狙い。

英政権、外国勢の投資取り消す権限認める法案を計画-関係者

  ダイアログとルネサスは10年余りにわたって協力関係にあり、ルネサスもアップルのサプライヤーの1社。

(ルネサスの会見の内容や背景情報を追加して更新します)
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