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コロナ禍でも人気の焼き肉店、宣言解除後の回復に期待-換気が武器

  • 焼き肉店の倒産件数、昨年は過去10年で最低-東京商工リサーチ
  • 緊急事態宣言は焼き肉店に打撃、夜間の来客が中心-アナリスト

新型コロナウイルス感染拡大の影響で飲食業界が苦境に立たされる中、居酒屋大手ワタミの新町洋忠執行役員は、新店オープンのために全国を飛び回っていた。同氏が手掛けるのは居酒屋ではなく焼き肉店だ。

Monogatari Corp. handouts

「焼肉きんぐ」の店舗内の光景

Source: The Monogatari Corp.

  ワタミは昨年10月、外食事業の新たな基幹事業として「焼肉の和民」を展開する方針を発表。同月末時点で国内に約360ある居酒屋店舗の3割を2022年3月末までに焼き肉店に転換させるとした。新町氏も以前は全国の居酒屋を担当していたが、現在は「焼肉営業本部長」の肩書きとともに業態転換の指揮を執っている。

  ワタミでは、ワクチンの接種が広がったアフターコロナの時代にも宴会需要は戻らず、居酒屋市場はコロナ禍前の7割程度まで落ち込む可能性があると分析している。その一方で焼き肉需要は今後も継続的に伸びると予想。新町氏によると、現在アジアを中心に焼き肉業態の海外進出にも着手しており、将来的には1000店舗を目指しているという。

  帝国データバンクによると、昨年の飲食店の倒産件数は過去最高の780件となり、中でも酒場・ビヤホールは全体の24%を占め最多となった。しかし、コロナ禍でも焼き肉への需要は底堅く、日本フードサービス協会によると20年の焼き肉店の売上高は前年比11%減と、ファミリーレストラン全体の減少率22%を下回った。

  昨年の最初の緊急事態宣言解除後は客足の戻りも早く、他の飲食店よりも回復が目立った。東京商工リサーチの調査では、昨年の焼き肉店の倒産件数は過去10年で最少となった。

各テーブルに換気扇

  ワタミの焼き肉店では店内の空気が3分に1回入れ替わっており、新町氏は「各テーブルに換気扇が付いているようなもの」と話す。同社ではさらに配膳ロボットなどの導入により、人との接触を居酒屋と比べて80%削減している。

  いちよし経済研究所の鮫島誠一郎アナリストは、排煙装置による換気の良いことが焼き肉店の人気につながった理由の一つだと指摘する。無煙ロースターの国内シェア約6割を持つシンポの調査によると、無煙ロースターのある焼き肉店では他の一般的な飲食店と比べ7倍近い空気が入れ替わっているという。

  「焼肉きんぐ」など郊外で大型の焼き肉食べ放題チェーン店を展開する物語コーポレーションの加藤央之社長は、換気の良さに加えて家族需要を捉えることができたのもコロナ禍で焼き肉店の人気が堅調だった要因だと分析する。

  同氏は職場の同僚などとの飲食の機会が減り「家族との食事が残った」一方で、外食の回数が減っていることから、「1回だけ食べるのなら何を食べに行くのか」との選択で焼き肉や寿司が選ばれていると話す。現在約260店の焼き肉店を展開する同社は、今年新たに22店を開店させる予定だ。

「一気に戻る」需要

  しかし、コロナ禍で健闘する焼き肉店も緊急事態宣言の影響を受けている可能性はある。鮫島氏は、ラーメンやファストフードなど来客のピークが昼に集中する業態では営業時間が8時まで短縮されても影響を受けにくい半面、夜間の利用が多い焼き肉店にとって時短営業は打撃となるとみている。

  物語コーポでは2度目の緊急事態宣言発令を受けて、もともと夕食時だけだった同社の一部焼き肉店でもランチ時の営業を開始した。ワタミも昼需要をさらに取り込もうと、緊急事態宣言発令後から1980円でランチタイム限定の食べ放題コースの提供を開始した。

  鮫島氏は、今回の宣言が解除されれば、焼き肉店の需要は「一気に戻る」と予想する。海外ではロックダウン(都市閉鎖)が解除されると肉の消費が増える傾向があり、焼き肉店は「アフターコロナには非常に強い」との見方を示した。

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