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米テーパリング巡る議論、長期的には多様な見解の表明が有益か

  • パウエルFRB議長にとって少なくともまだ話したくないテーマ
  • 多様な意見を抑え込めば将来的に望ましくない政策となる恐れ

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長にとって、多額の資産購入プログラムのテーパリング(段階的縮小)は少なくともまだ、話したくないテーマだ。だが、これが再び話題となるのは時間の問題にすぎないと考えられ、それは悪いことではないかもしれない。

  1月27日の連邦公開市場委員会(FOMC)後に記者会見したパウエル議長は同プログラムに関し、「出口に焦点を合わせるのは時期尚早だ」と語った。連邦準備制度の他の当局者を念頭に、将来よりも当面の課題に集中するよう呼び掛けたものであるのは明らかだ。

FOMC、経済の回復ペースは減速-債券購入を現行水準で維持

Powell And Mnuchin Testify Before House Financial Services Committee

パウエルFRB議長

Photographer: Jim Lo Scalzo/EPA/Bloomberg

  そうではあっても、財政刺激策や新型コロナワクチン接種の進展を背景に年内の景気加速に楽観的な予測が示される中にあって、米国債市場は連邦準備制度がいつ資産購入プログラムを変更する可能性があるのか、手掛かりを得ようとしている。

  当局者の一部が2021年中のテーパリング開始の可能性に言及したのを受け、パウエル議長は発言内容を1つにまとめようと努めている形だ。しかしその結果、議長が適切な政策運営を確実に行うことができるようにする上で、助けになるかもしれない連邦準備制度内の異なった見解を打ち消してしまうリスクもある。

  ダラス連銀のカプラン総裁は先月29日、テーパリングについて「非常に活発な議論」が行われるだろうとの見通しを示しつつも、時期についての言及は控えた。ドイチェ・バンク・セキュリティーズの米国担当チーフエコノミスト、マシュー・ルゼティ氏は「当局者がどのような展開を望むかで困難や緊張がある」と指摘した。

テーパリングの時期、FOMC内で「活発な」議論に-ダラス連銀総裁

  連邦準備制度が景気刺激に努めている現時点でテーパリングについて議論すれば、資金調達コストを押し上げてしまうリスクがある。ただ、多様な意見を抑え込めば、将来的に望ましくない政策につながることも考えられる。経済の転換点は予測が難しく、不確実性が高い状況にあっては、さまざまな見解の融合が適切な政策策定に重要だ。

  ルゼティ氏は、資産購入の段階的縮小について当局者が「どこかの段階」で議論するのが道理にかなうと述べるとともに、「FRB理事の間であっても見解が分かれることになると予想される」と語った。

Votes Against

Powell has enjoyed a much less tumultuous Board than his predecessors

Source: Federal Reserve Bank of St. Louis

Note: First 26 board meetings by chair

  故ボルカー元議長以降の歴代FRB議長のうち、パウエル氏が議長になってからFOMCで投じられた反対票がこれまでのところ最も少ない。だが、1つの声でまとまっていることが最善なアプローチと考えられるかもしれないが、実際には長期的に信頼性を損なうことになりかねない。具体的には約10年ぶりの利上げを決めた15年12月の例が挙げられる。

  当時はパウエル、ブレイナード、タルーロの3人の理事が利上げが妥当か懸念を抱いていた。このうちパウエル氏は16年の利上げ回数の予想を他の当局者よりも少なめにすることで納得。ブレイナード、タルーロ両氏はインフレ率が持続的な形で2%の物価目標にまで上昇するか心配し、利上げには乗り気ではなかったものの、結局、全員一致で利上げが決まった。

  当時のFOMC議事録を参考にして後から振り返れば、利上げに消極的だった3人の理事の方が正しかったことが分かる。FOMCは物価目標を安定的に達成することができずにいる。

  ワシントンを拠点とする政策調査会社、LHマイヤーのエコノミスト、デレク・タン氏は当局者について、「信用の面で反対意見表明のコストはさまざまな見解から得られるかもしれない政策上の便益を上回ると考えているようだが、それは誤りだと私は思う」と話した。

原題:Fed Dissent and Bond Volatility Are in Powell’s Taper Future(抜粋)

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