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Photographer: Toru Hanai/Bloomberg
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「医療崩壊」阻止に民間活用、コロナ患者受け入れに強制力-法改正へ

  • 民間病院のうちコロナ患者受け入れは3割、設備や専門性が不足
  • 病院名公表は「衝撃」、事後検証できる仕組みを-日本医師会長
Buildings and the Sumida River are seen from the viewing deck of the Tokyo Skytree, operated by Tobu Railway Co., in Tokyo, Japan, on Friday, Dec. 25, 2020.
Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

 

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新型コロナウイルス患者の病床確保のため、政府は感染症法を改正し、医師らに患者受け入れを勧告し、正当な理由なく応じない場合は病院名を公表できるようにする。日本の医療機関の多数を占める民間病院でより多くの患者を受け入れ、医師会などが指摘する「医療崩壊」を食い止めたい考えだ。きょう1日、衆院で可決される見通し。

  「民間病院に一定数を出してほしいと働きかけをずっと行ってきている」。菅義偉首相は1月13日の記者会見で、公立や公的病院に偏っているコロナ患者受け入れを、民間にもより広げる必要性に触れた。1000人当たりの病床数が経済協力開発機構(OECD)加盟国で最も多く、欧米諸国と比べ感染者数が少ない日本で医療がひっ迫しているのは、民間の医療資源が十分に活用できていないことも一因だ。

新型コロナ患者の受け入れ可能な病院

出所:厚労省(1月10日までに報告があったもの)

  厚労省によると、救急や重症患者を治療する急性期病院のうちコロナ患者の受け入れが可能な病院は公立73%、公的84%に対し、民間は30%にとどまる。200床未満の中小規模が多いものの全病院数の8割を民間病院が占めており、病床数確保には民間病院の受け入れを増やすことが不可欠だ。

  政府は、重症者の受け入れ病院に1床あたり1500万円、緊急事態宣言地域ではさらに450万円上乗せして補助することを決定。病院が協力に応じない場合は従来は「要請」が可能だったが、法改正によって「勧告」が行えるようになり、正当な理由なく従わない場合には病院名も公表できる。

  年末から「第3波」が到来した日本では年明けに感染者が急増し、11都府県に緊急事態宣言を再発令している。医師会からは「医療崩壊」への懸念の声が上がり、総務省消防庁によると、救急患者の受け入れ先がすぐに決まらない「搬送困難」なケースが1月24日までの1週間で2836件と、去年の同時期と比べ2倍以上となった。

人口1000人あたりの病床数

出所:OECD

  田村憲久厚生労働相は1月15日のインタビューで、欧州と比較し日本は民間病院が多く、計画を整備し医療資源の配分をしないと「全体のオペレーションが回りづらいという特性がある」と認めた。高齢者の重症化リスクが高い一方で、軽症や無症状者が感染を拡大させる新型コロナは「ちょっと変わった、特異な感染症」であり、「想定していなかった。われわれも反省しなければならない」と話した。

  受け入れる民間病院側からは不安の声も聞こえる。政府の目論見とは異なり、病床をどれだけ増やせるかは不透明だ。

  日本医師会の中川俊男会長は1月20日の記者会見で、中小病院の多くは設備や機器、専門性が不足しており、対応が難しいと説明。受け入れに応じない病院名を公表することは「医療現場に衝撃を与えた」として、緊急要請の場合にも妥当性を事後検証できる仕組みを設けることを国に求めた。 

  感染症法改正では、感染者が入院を拒否した場合、政府案では1年以下の懲役か100万円以下の罰金を科すことも盛り込まれていたが、与野党の修正協議で刑事罰は撤回。前科にならない行政罰で50万円以下の過料を科すことになった。

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