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日銀の金利変動幅拡大、為替市場は時期尚早との声-円高リスク根強く

  • 変動幅拡大は円高要因、100円割れ回避ののりしろ必要-三菱モルガン
  • 国内外の長期金利が落ち着いているうちに実施するのが得策との声も

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外国為替市場では日本銀行が3月に行う金融緩和策の点検で長期金利の変動許容幅を拡大するとの観測について、ドル安・円高圧力が根強いうちは時期尚早として実施の可能性は低いとみられている。

  日銀は低金利政策を続ける一方で、生命保険会社や年金基金の収益低下につながる利回り曲線の過度なフラット(平たん)化を懸念している。ただ、変動幅の拡大は超長期金利の上昇容認を通じて円高につながりかねない。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは変動幅拡大が大幅かつ持続的な影響を及ぼすとは考えにくいが、超長期金利の上昇容認の思惑から「初期反応は円高」と予想。100円の大台を割り込まないための「のりしろ」がもっと欲しい上、3月の国内企業の決算への影響を避ける必要もあり、新年度以降に実施するべきだと言う。

  ドル・円相場は1月6日に1ドル=102円59銭までドル安・円高が進行し、足元では104円台と、株価や企業決算・家計心理に影響を及ぼす100円の大台割れが遠くない水準にある。

1ドル=100円の大台割れとの距離遠くない

  バークレイズ証券の門田真一郎チーフ為替ストラテジストは、日銀が金利変動幅を拡大すれば、金利上昇容認と受け止められて円金利が上昇し、日米金利差の縮小でドル・円の重しになると読む。三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストも、変動幅拡大は国内金利の上昇を通じて円が強含む要因になり得るとみている。 

  欧州中央銀行(ECB)は足元で緩和姿勢を強め、米連邦準備制度理事会(FRB)は早期テーパリングを否定している一方で、日銀だけが金利上昇方向の行動をとることは現実的でないとの声も聞かれる。あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストも金融緩和を後退させるわけではないので「実施には慎重さが必要」と指摘する。

  黒田東彦総裁は先月21日の会見で、利回り曲線全体の低位安定が大事としながらも、超長期金利の過度な低下は保険や年金の運用利回り低下などの影響を及ぼす可能性があると述べた。10年債利回り目標ゼロ%からの変動許容幅を現行の上下0.2%ポイントずつから広げるとの観測についてはコメントを控えた。 

早めの実施が得策

  仮に日銀が金利変動幅の拡大に踏み切るならば、欧米の金利上昇圧力が低く落ち着いている間に実施することが効果的との見方もある。野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、米金利が上昇し始めてから日銀が動くと「直接的な円高リスクは低い半面、金利のボラティリティーが上がって市場が不安定化し、ドル以外の主要通貨に対して円高が進み、結局はドル安・円高につながりかねない」と話した。

  JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は「理屈上は変動幅拡大で国内金利上昇なら円高要因だが、そう言うのもはばかられるくらい小さなインパクトしか生じない」と予想。米欧の中央銀行が動く中で日銀だけが動かずに100円を割り込んだ場合、批判が集中する恐れがあると指摘。「効果の有無はともかく、金融緩和策を改善する姿勢を誇示する意味で、そうなる前に動いた方が良い」と述べた。  

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