ソフトバンクG劣後債は1770億円で起債、1年超ぶり社債市場復帰
森田理恵-
利率3%、発行額は需要をほぼ全て取り込み1770億円-主幹事
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前回の劣後債を上回る規模、「BBB」格で多くは買えないとの声も
ソフトバンクグループが29日、劣後債を起債した。社債を公募するのは2019年9月以来。円建て社債最大の発行企業(金融除く)である同社はことしから増加する既発債の償還に応じて継続的に起債する方針で、今回債はその第1号となる。
起債したのは、最終償還年限が35年で発行から5年後に早期償還が可能になる35年NC5の劣後債。利率は3%、発行額は1770億円に決まった。主幹事によると、リパッケージ債向けも含め最終的に集まった需要をほぼ全額発行する。
ソフトバンクGでは21年に国内劣後社債など合計8172億円の償還を控える。後藤芳光最高財務責任者(CFO)はブルームバーグの書面インタビューで「償還のタイミングでは起債を継続していきたい」との考えを示した。

ソフトバンクGが社債市場に復帰
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
発行額は当初予定の1000億円程度から徐々に積み増し、16年9月に起債した前回の機関投資家向け劣後債の総額710億円を大きく上回った。
利率3%は実質5年債ながら、楽天が昨年10月に起債した実質10年債の40年NC10に並び今年度の事業会社の劣後債として最高水準。ソフトバンクGは残存社債が多く、投資会社で財務方針を見極めにくいとの見方があり、債券格付けは日本格付研究所で「BBB」と低めで高い利率が求められる傾向がある。投資家は運用難に直面しており、主幹事によると新規投資家の参加もあったという。
もっとも、需要は最近の高格付け銘柄の劣後債と比較すると伸び悩んだとも受け取れる。今月はかんぽ生命保険が起債した劣後債が発行額2000億円の1.7倍強の需要を獲得。三菱地所の劣後債は発行総額1150億円に対して最終需要は約7.7倍に達した。
今回債を購入したある投資家は、「BBB」格の銘柄は保有枠が限られているため、リスク管理の点で利率がいくら高くても多くは買えないと説明した。また、今後の償還に伴う起債がある程度見えているだけに、流通実勢との比較でそこまで利率に魅力がなかった今回は購入を見送ったという投資家もいた。
【購入投資家層(比率)】
中央投資家 | 地方投資家 |
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生保、損保、投信投資顧問、信託(55%) | 地銀、系統下部、地方公的、 その他諸法人(45%) |