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イエレン財務長官、再び「為替戦争」に直面-「強いドル」回帰否定で

  • ドル安を受け為替介入を行う国・地域との緊張高まる
  • 市場や米政権は為替操作に注視必要とラスキン氏

イエレン米財務長官にとって、ドル安を受け為替介入を行う諸外国・地域との緊張の高まりが新たな悩みの種となっている。同長官は既に経済対策や格差是正、税制改革などの政策課題で手一杯な状態だ。

  米金融当局による流動性供給と借り入れコスト引き下げもあって、ドルは昨年3月のピークから13%余り下げた。米国以外の国や地域の政策当局者は当初、世界的な信用逼迫(ひっぱく)を回避する米国の取り組みの恩恵を受けていたが、最近になって自国通貨の上昇が経済の回復を阻害する恐れが出て来た。このため欧州やタイ、チリなどが持続的な介入を計画している。

  今月、いわゆる「強いドル政策」への回帰を否定して過去の民主党政権と一線を画す姿勢を示したイエレン氏にとり、こうした為替介入の動きへの対応は難しくなりそうだ。同長官は議員に対し、「通商上の優位を得るために外国為替市場に介入している国々に効果的な圧力を加える」方法を検討すると確約したばかりだ。

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イエレン財務長官

  ドイツ銀行のチーフ国際ストラテジスト、アラン・ラスキン氏は「現在見られるのは、ドル安環境に対応する中央銀行の最初の一手にすぎない」と分析。これまでの措置は大掛かりな為替操作には至ってないものの、「市場やバイデン政権は注視が必要だ」と指摘した。

  金融危機から回復し始めた2010-11年、最近と同様の米緩和政策がドル安を促し、諸外国の反発を招いた。ブラジルのマンテガ財務相(当時)はこうした緊張状態を「通貨戦争」と表現した。

  それから10年たったが、米国には依然、この問題に即時に対処できる有効な手段がない。「為替操作国」や「監視対象国」を認定する財務省の半期に一度の為替報告書も効果的とは言えない。昨年12月の為替報告書ではスイスが為替操作国、インドは監視対象国にそれぞれ新たに認定されたが両国はこれを無視し、為替介入を続けている。

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  上院財政委員会の指名承認公聴会で、イエレン氏は強いドル政策を信奉するかとの質問に対し、「市場で決定された為替レート」を信じるとし、米国として「通貨安を追求しない」と答えた。

  ブッシュ(子)元政権で経済政策を担当し、イーブンフロー・マクロの創業者であるマーク・サマリン氏はイエレン氏のこの発言について、「ドルが下がろうとするならドル安になる可能性があり、私自身がそれに関与するようなことはしない」と話しているのに等しいと指摘した。

  これを受けて、外国の当局者も対応の手掛かりを失った形だ。トランプ前政権以前であれば、自国通貨の望ましくない上昇に見舞われた場合、米国の強いドル政策に言及してその存在を際立たせる方法もあったが、今では自国通貨高を容認して経済の競争力やリフレ政策を台無しにするか、口先介入もしくは市場介入に踏み切るかの選択を迫られることになる。

  外国の自国通貨売りの動きを巡るコメントの要請に対し、財務省報道官は上院財政委でのイエレン氏の発言を参照するよう返答した。

Greenback's free-fall causes pain for others

原題:Yellen Faces ‘Currency War’ Redux as She Ditches a Strong Dollar(抜粋)

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