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存在感増す旧村上ファンド、自社株買いや対抗TOB駆使する手法健在

  • 日本アジアGに対抗TOB、カーライルは買収価格を2倍に引き上げ
  • 次のターゲットは建設業界、西松建設など3社の保有比率が増加

「物言う株主」村上世彰氏が実質的に率いる旧村上ファンド系投資会社が存在感を増してきた。株式保有する企業から自社株買いを引き出したり、株式公開買い付け(TOB)価格が割安とみれば途中から参戦したりと、その手法は健在だ。足元では建設業界の株式買い集めによる業界再編を仕掛ける可能性も指摘されている。

  不動産販売会社のフージャースホールディングスは28日、自社株の株式公開買い付け(TOB)を発表した。買い付け価格は1株当たり684円で、同日終値を下回るディスカウントTOBだ。筆頭株主の旧村上系投資会社、シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)に保有株(37.6%)を全て手放してもらうことが狙いで、すでに契約は締結済みだという。

Activist Investor Yoshiaki Murakami

Yoshiaki Murakami

  ディスカウントTOBは通常、一般株主を残したまま特定の株主から株式を買い取る場合に実施する。今回、フージャースはアクティビスト(物言う株主)として名高い旧村上系を対象にした。ブルームバーグのデータによると、シティインデックスの取得原価は1株平均577円。買い付け価格は18.5%のプレミアムが乗った計算だ。

  旧村上系の投資回収(エグジット)で最も多いのがいわゆる「自社株TOB」で、フージャースが今回採用した。アクティビストを排除したい企業が実施するMBOや自社株買いに応じてエグジットを図る戦術だ。過去に旧村上系が5%以上を保有して、その後全て売却した企業は8社。このうち5社が「自社株TOB」だった。

  一般的に、自己資本が不必要に厚い企業は、自社株買いで資本効率を上げ、市場の評価を上げることができる。だが、西村あさひ法律事務所の太田洋弁護士は、旧村上系は将来の投資のための原資の必要性などを精査することなく、自社株買いを迫る場合が多いことが問題だと指摘する。

  これまで東芝機械(現芝浦機械)やヨロズ買収防衛を巡って村上氏と対峙(たいじ)してきた太田弁護士は、旧村上系の自社株TOB戦術について「自己資本を吐き出すと成長のための原資が枯渇してしまう会社もある。それでは、中長期的な成長を期待する他の株主の利益をないがしろにしかねない」と懸念を示す。

対抗TOB

  旧村上系がエグジットで使う手法の二つ目が「イベントドリブン型」だ。TOB期間中の対象会社の株式を買い集め、最後に売り抜ける。再生エネルギー事業を手掛ける日本アジアグループの経営陣による買収(MBO)では、米投資ファンドのカーライル・グループによるTOB価格の引き上げを誘い出した。

  カーライルは買い付け価格を当初の1株当たり600円から1200円に2倍に増額したが、その理由は、シティインデックスが買い付け価格を不服として、40%上乗せした同840円で対抗TOBを実施すると発表したからだ。

  カーライルが最初にTOBを発表したのが昨年11月5日。シティインデックスは同20日、大量保有報告書で同社株5.7%を保有していることを明らかにした。変更報告書によると、その後、シティインデックスは買い進めて、現在の持ち分は共同保有分を合わせて20%となっている。

  現時点でシティインデックスは、カーライルの買い付けに応じるかどうか態度を表明していない。しかし、ブルームバーグのデータによると取得原価は約600円で、カーライルのTOBに応じても2倍の価格で売り抜けることができる。シティインデックスは電子メールによる取材に対し、コメントを控えると回答した。

建設業界の持ち高増

  旧村上系がにわかに保有を増やしているのが建設業界の株式だ。提出された報告書によると、昨年4月以降に買い付けを始め、直近の保有比率は大豊建設が26.85%、西松建設が12.91%、東亜建設工業が7.63%となっている。大豊と西松は1月に持ち高を増やしている。

  松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、旧村上系の狙いについて「現時点でどのような目論見を持っているのかは定かではないが、一般論として業界再編による経営効率化や、ホワイトナイトの登場を期待しているところもあるだろう」と話している。

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