ECBにはユーロ高に対処する手段、利下げも可能-クノット氏
Alexander Weber、Francine Lacqua-
ユーロ相場、非常に注意深く見守っている-クノット氏
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クノット氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで発言
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は27日、インフレを抑制する一段のユーロ高に対処する手段がECBにはあるとし、追加利下げも可能との認識を示した。
同総裁はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ユーロ相場を「われわれはもちろん、非常に注意深く見守っている」と述べた上で、為替レートは「ECBがインフレ動向を判断する際に考慮する要因の一つだ。唯一の要因ではないがその一つではある」と説明した。
クノット総裁の発言後にユーロは下げ幅を広げ、フランクフルト時間午前11時48分現在は0.3%安の1ユーロ=1.2126ドル。

ユーロは昨年ドルに対して約9%上昇。11、12月に合わせて5%近く値上がりした。既にマイナスのインフレ率を輸入物価を通じて押し下げるほか、輸出競争力にも影を落とす。
クノット氏は、ユーロ上昇を防ぐために必要ならば、マイナス0.5%の中銀預金金利をさらに引き下げる余地もあると述べた。
ECBは新型コロナウイルス危機を通じて政策金利を据え置き、景気刺激を債券購入と条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)に頼っている。
クノット氏は、「われわれは金利の実効下限制約を模索してきたが、まだそれを見つけてはいない」とした上で、「まだ利下げ余地はあるが、もちろん全体的な金融政策姿勢との兼ね合いにおいて判断することが必要だ。金融政策姿勢は資産購入、TLTRO、フォワードガイダンスなど多様な手段によって決まる。これら全てが作用してくる」と語った。
経済については「慎重ながら楽観的」とし、今年上期は新型コロナ対策の活動制限や変異種が景気を左右する主因となるが、ワクチン接種が広がる「夏以降」には楽観論が根付くだろうとの期待を表明。経済見通しはワクチン接種の進展次第だが、「希望を持っている」と語った。

ブルームバーグテレビジョンのインタビューで話すECBのクノット氏
Source: Bloomberg)
原題:ECB’s Knot Says Tools Are Available to Counter Euro Strength (1)、ECB’s Knot Says Tools Are Available to Counter Euro Strength(抜粋)