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ワクチン接種開始も大変動なし-コロナ時代に最も安全な国ランキング

  • 接種率が世界最高のイスラエルとUAEがトップ15圏内入り
  • 日本は1つ順位を下げて8位-NZと豪州、台湾は上位維持

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新型コロナウイルス感染症(COVID19)ワクチンの接種が一部の国・地域で始まった。だが、過去最大規模となる世界的なワクチン接種計画は、ブルームバーグがまとめる新型コロナ時代の世界で最も安全な国・地域の番付、COVIDレジリエンス(耐性)ランキングに大きな変動をもたらす段階にまだ至っていない。  

  経済や社会に最も痛手が少ない形でコロナに最も効果的に対応している国・地域を特定するため、ブルームバーグは毎月データを算出する。

  番付トップのニュージーランドや上位のオーストラリア、台湾などではワクチン接種がまだ始まっていないが、順位にさほどの変化はない。市中感染の低さや現在の温暖な気候に助けられ、優位性を維持している。日本は順位を1つ落として8位だった。

  1月の番付では水際対策や4件のワクチン契約確保、ゼロに近い国内感染者数を実現したニュージーランドが3カ月連続の首位となった。一方、新たな死者数が過去最多を記録したメキシコが最下位にとどまった。

  コロナワクチン接種率が世界で最も高いイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)はトップ15圏内へと順位を上げた。両国の100人当たりの接種回数は最大で40回分となり、順位を押し上げる原動力となったが、感染拡大が続いている点が足かせだった。

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  イスラエルとUAEで進むワクチン接種によって感染や死亡率がどれほど迅速に、どの程度下がるのか、世界は注視している。専門家は入院や死亡率の低下を予想するが、ワクチンが発症を防いでも、人から人へのウイルス拡散は引き続きあり得るのかは依然としてかなり不透明だ。

  また、臨床試験ほど条件が管理されているわけではない現実世界でワクチンがどう作用するかも検証の対象だと、オーストラリア国立大学医学部のピーター・コリニョン教授は指摘。「ワクチン普及で、人々がより広範囲に移動し始め、屋内の密なスペースに入るなど警戒を緩めれば、想定されたほど新規感染者が減らない可能性もある」と語る。

Handling the Covid Era

Asia-Pacific leads, while Western Europe, U.S. and Latin America fall behind

Note: A higher Bloomberg Covid Resilience Score indicates a better outcome

  1月の番付では米国は順位を2つ上げて35位となった。バイデン大統領が推進加速を表明したワクチン接種計画が追い風だ。ただ死者数はなお世界最悪で、40万人を今月突破した。

  英国はファイザーとビオンテック、アストラゼネカとオックスフォード大学がそれぞれ開発したワクチンの緊急使用を西欧諸国で最初に認めた国だが、感染力の強い変異種の流行が番付に影を落とし、順位を2つ下げた。

  ブルームバーグCOVID耐性ランキングは経済規模が2000億ドル(約20兆7500億円)を超える53の国・地域を、感染者の増加ペースや全体の致死率、検査能力、医療体制の能力、ロックダウン(都市封鎖)のようなコロナ関連の行動制限が経済にもたらす影響、移動の自由など10の主要指標に基づいてランク付けした。

ブルームバーグCOVID耐性ランキングの補足説明

  1月の番付ではワクチン接種の進展を反映する11番目の指標を導入し、100人当たりの接種回数を示した。国内総生産(GDP)伸び率予想の指標も、2020年から21年の見通しに置き換えた。

  2月の耐性ランキングでは、ワクチン接種が死亡率をいかに速く下げられるかや急速に広がっている新たな変異種にいかに有効かが焦点となる。

Front Runners

Top 10 countries with the fastest Covid vaccine rollout

Source: Bloomberg's Covid-19 Vaccine Tracker as of 6 p.m. EST on January 24

  最新ランキングで上昇が目立った国・地域は:

  • 今年8.3%成長が見込まれる中国(4ランク上げて5位に)
  • 感染者や死者がピーク時から減少したイタリア(22ランク上昇)やベルギー(19ランク上昇)、ギリシャ(19ランク上昇)
  • 21年にV字型の景気回復が想定されているインドやペルーはいずれも21ランク上げた

  一方、南アフリカ共和国やコロンビア、チェコが最下位圏に落ち込んだほか、感染再拡大が深刻化しているアイルランド、行動制限が強化されたオランダやドイツが大きく順位を下げた。成長見通しがさえないエジプトとパキスタンの順位低下も際立った。

共通点

  米英など主要な民主主義国家の一部が後れを取った一方で、中国やベトナムなどが新型コロナウイルス抑え込みに成功したことは、民主的な社会がパンデミック(世界的大流行)への対応に適しているのかという疑問を投げ掛ける。

  しかし、ブルームバーグCOVID耐性ランキングはそうした見方を否定する。昨年11月のランキング発表以降、トップ10の大半は民主的な国・地域だ。悪影響を最小限に抑えてコロナを封じ込めることに成功している政府は、市民に命令し服従させる力によってではなく、高い信頼と社会のコンプライアンスを引き出すことによってそれを可能にしているように見受けられる。

  市民が当局とその指針を信頼している場合、ロックダウンは不要かもしれない。日本と韓国はこの1年の大半でこれを示してきた。ただ、厳しい冬の訪れが今、こうした比較的オープンなアプローチに問題を突き付けている。

  ニュージーランドは最初から、コミュニケーションを重視した。同国の4段階の警戒システムは、感染拡大の状況に伴い政府がどのように、またどういう理由で行動するかを国民に明確に理解させた。

  公衆衛生インフラへの投資も重要だ。20年より前には多くの場所でその価値が過小評価されていた接触追跡システム、効果的な検査が新型コロナ対応で上位にランクされる要因となり、健康に関する知識の浸透が手洗いやマスク着用を社会に定着させる助けとなった。これが、経済に大打撃を与えるロックダウンを回避する鍵になったと、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は指摘している。

  メルボルン大学で世界疾病負担(GBD)グループのディレクターを務めるアラン・ロペス名誉教授によれば、社会的結束もこのパンデミックへの対応の成否を分ける要素だった。

  「日本や北欧の社会を見ると、不平等が非常に小さく、規律が行き届いていることが分かる」とロペス氏は述べた。「これが、国としてより結束した対応につながる」と分析した。

ワクチン優位

  米国で効果的な対応が見られなかったことが、今回のパンデミックで最も驚くべき展開の1つだった。超大国の米国が感染者数と死者数で世界最多となり、危機への対応は当初から出遅れていた。医療機器および個人防護具(PPE)の不足、検査や追跡における調整の欠如、マスク着用の政治問題化など不備が目立った。

  トランプ前政権は治療とワクチンを重視した。「ワープ・スピード作戦」と銘打った取り組みの下、ワクチンを開発する製薬会社などに約180億ドルを配分した。このワクチン重視で米国は順位を上げたわけだが、ワクチンの普及スピードと供給には不安が残る。

Virus Epicenters

Places with more than 50,000 coronavirus deaths

Source: Johns Hopkins University

  ワクチン確保の指標では人口の3倍以上に十分な量を確保したカナダと英国の点数が高い。オーストラリアとニュージーランドは人口の2倍以上分を確保、一方で台湾の割合は26%にすぎない。

  ランキング対象の53の国・地域では30以上でワクチン接種が始まった。これで感染拡大の勢いが収まったり、死者数を減らしたりするには至っていないものの、人口100人当たりの接種回数を示す新たな指標は大規模なワクチン接種による恩恵をどこが最初に目にするかへの手掛かりを与えるだろう。

これから

  ブルームバーグCOVID耐性ランキングは53の国・地域の現在のランキングを示すものだが、ワクチン契約と配布の進展をランク付けすることによって各国経済の将来への展望も提供する。

  いずれにせよ最終的な番付ではないし、ウイルスについてのデータの不完全さや危機の展開の速さを考えれば番付が固定されることは決してない。第1波を比較的うまく乗り切った国・地域も第2波、第3波に見舞われている。その時々の状況や純粋な運も結果を左右するが、これらを定量化することは難しい。

  21年はワクチンの普及がさらに決定的な要素となることは確かだ。物流と保管、国民の不安と、課題は多い。しかし、新型コロナとの1年間の闘いを経て、政府も国民も感染拡大を抑える方法、影響を緩和する方法への理解を深めている。

  順位はデータと共に変わっていく。ブルームバーグは事態の展開に伴い、毎月ランキングを更新していく。

原題:Best and Worst Places to Be in Covid: Vaccine Not Slowing Deaths (抜粋)

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