, コンテンツにスキップする

現在も続くETF購入、白川総裁は「臨時・異例」と言明-10年議事録

  • 政策委員も苦悩、「損失発生リスクを日銀が負う」と副総裁
  • 円高・株安が日本経済直撃、政府は6年半ぶり円売り介入

日本銀行が25日公表した2010年7-12月の金融政策決定会合の議事録によれば、現在も続く上場投資信託(ETF)購入の導入時に、白川方明総裁(肩書きは当時、以下同)は「臨時、異例の措置」と言及していた。欧州債務危機と世界経済の減速を背景に急激な円高と株安が進む中、日銀は金融緩和政策の枠組みの大幅な転換を迫られた。

  「もう既にやっているが故に、なかなか日本銀行が積極的だというイメージが生まれにくい」。出張先の米国から予定を1日早めて帰国して開催した8月30日の臨時会合で、白川総裁は市場や政治から強まる緩和圧力に対して釈明した。投資家のリスク回避的な行動に加え、米連邦準備理事会(FRB)に比べて日銀が金融緩和に消極的と市場に見られていたことも外国為替市場で円高が進む一因として指摘されていた。

時期出来事
急激な円高と株安が日本経済を直撃
8月30日固定金利方式の資金供給オペレーションに期間が長めの6カ月物を新設するなどの追加緩和措置
9月15日約15年ぶりの高値となる1ドル=82円台、6年半ぶりとなる円売り介入
10月4、5日事実上のゼロ金利政策含む「包括的な金融緩和政策」を導入、ETFなど「資産買い入れ等の基金」を創設

  会合では固定金利方式の資金供給オペレーションに期間が長めの6カ月物を新設するなどの追加緩和措置を決めたが、円高・株安の流れに歯止めはかからなかった。円相場が約15年ぶりの高値となる1ドル=82円台に突入した9月15日、政府は外国為替市場で6年半ぶりとなる円売り介入に踏み切った。
  
  政策対応に一段と注目が集まる中で開かれた10月4、5日の会合で日銀は、従来の長期国債のほかETFや不動産投資信託(REIT)を新たに買い入れ対象とする「資産買い入れ等の基金」を創設を決定。政策金利を0~0.1%に引き下げる事実上のゼロ金利政策などを合わせた「包括的な金融緩和政策」を導入した。

  会合では円高の悪影響が意識される中、追加緩和が必要な認識を共有する。亀崎英敏審議委員が「ここまで進行すると想定していなかった円高の影響はどの程度か。大変不透明である」と述べたほか、野田忠男審議委員は「一歩も二歩も踏み込んだ強力な金融緩和政策の追加が必要な局面に差しかかっている」と話した。

成長するクジラ

日銀保有ETFの時価は約45兆円に増加

出所:ニッセイ基礎研究所

備考: 11月30日現在のデータ

  一方、議論からはリスク性資産の買い入れに対する政策委員の苦悩もにじむ。須田美矢子審議委員は「呼び水としてリスク資産に対する需要・供給が増え、お金の巡りが良くなる」と期待を示したが、西村清彦副総裁は「当該資産の損失発生リスクを中央銀行である日本銀行が負うことを意味する。それは国庫納付金が減少するという意味で国民に負担が及ぶ」と話した。

  白川総裁は、どこまでが金融政策の領域かを追求する重要性を指摘しつつ、日銀は政策を迅速に実行できるとし、「その代わり独立性の下でアカウンタビリティーがある」と指摘している。

  ETF買い入れは、10年がたった現在も黒田東彦総裁の下で続いている。当初は年間で4500億円程度だったが、現在は約6兆円を原則に、上限が約12兆円まで拡大。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を上回り、日本株の最大の保有主体になったとみられる。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE