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中国スタートアップに「第三の道」-独禁規制強化、投資家に恩恵も

  • 生き残れないか、大手に買収されるかしかなかったスタートアップ
  • 独立系企業が大手に押しつぶされることがないとの認識広がるか

中国政府による国内最大級のハイテク企業締め付けが、デリケートな経済環境の中でテクノロジー業界をまひさせ、混乱を引き起こすとの懸念を招いている。だが業界内には独占的な事業慣行を禁じる広範な政策を歓迎する一角もある。スタートアップとその投資家だ。

  「独占禁止のルール導入は実際にスタートアップが成長する余地を広げる」と言うのは華興資本集団の周翔マネジングディレクターだ。「大手企業がいずれスタートアップと同じ分野で競合するかもしれないという懸念だけで、ベンチャーキャピタリストが出資を取りやめた案件を目の当たりにしてきた」と話す。

  中国のテクノロジーブームはアリババグループテンセント・ホールディングス(騰訊)が主導。だが政府がアリババ共同創業者でハイテク業界の顔である馬雲(ジャック・マー)氏をつつき出したことで、制約のないブームの拡大は壁にぶち当たった。

  アリババ傘下のフィンテック企業アント・グループが進めていた新規株式公開(IPO)は昨年11月上旬、上場直前で当局によって止められた。実現していれば350億ドル(約3兆6200億円)規模となるはずだった。同じ月、政府は影響力の極めて大きい企業を抑える包括的な権限を当局に付与する独占禁止の枠組みを提案。翌12月、アリババに対する独禁絡みの調査が始まった。

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テンセント(深圳)

写真家:Yan Cong / Bloomberg

  中国のハイテク大手は、入り組んだ投資を通じ業界をコントロールしている。人工知能(AI)やデジタル金融などの分野で最も成功しているスタートアップの大半を内包する投資ネットワークだ。

  一方で、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)やドローンメーカーのSZ・DJIテクノロジー、ゲームのネットイース(網易)といった独立系のスタートアップも伸びている。

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「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」2021年1月25日号

Photographer: Alamy (3); Getty Images (8); NASA (1)

  政府が政策アプローチを変えることで、独立系のテクノロジー企業が大手に押しつぶされたり、のみ込まれたりすることがないとの認識が広がれば、国外の投資家がより多くの独立系企業に資金を投じる可能性もある。

  シリコン・ドラゴン・ベンチャーズを創業したレベッカ・ファニン氏は「ハイテク最前線の後押しを強く続けていく中国は、AIやロボット、5G(第5世代移動通信)といった多くの重要なセクターで進歩」を遂げつつあり、こうした多くの発展は「巨大テクノロジー企業からではなく新興企業」から来ていると指摘する。

  香港大学中国法研究センターの張湖月所長は、政府介入の恩恵にあずかりたいと考えるスタートアップさえも危険にさらされるかもしれず、企業を意のままにしたいと執着する政府はすぐに大手以外にも照準を広げる可能性があると分析。

  ただ、これまでスタートアップには「生き残れないか、うまくやったとしてもアリババかテンセントに買われるという運命の二者択一しかなかったが、政府の独禁規制強化で第三の道」が敷かれたとも張所長はみているという。 

原題:China’s Startups Hope Tech Crackdown Creates New Opportunities(抜粋)

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)
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