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米政権交代、追い風受ける日本企業は-「脱炭素」や「中国」がカギ

  • 気候変動対応に4年で200兆円投資、日本電産などEV銘柄に追い風
  • 米中緊張緩和でソフトバンクGに期待、5G関連も注目-アナリスト

バイデン米大統領が20日に正式に就任した。貿易や環境問題への対応などで前任者から大きく政策が転換すると見込まれており、変化に柔軟な日本企業にとっては大きなビジネスチャンスとなる可能性もある。

Electric Vehicle Charging Stations As City Council Signs Off For Funding

米ロサンゼルスのEV充電ステーション。バイデン政権発足で米国の環境政策は大きな転換点を迎えている(2017年7月11日)

  企業活動に明確な影響が出るとみられるのは、温室効果ガスの排出削減など環境問題への取り組みだ。バイデン大統領は選挙戦の公約で、気候変動問題への迅速な対応やクリーンエネルギーの促進を柱の一つとして打ち出した。

  中でも大きく変化する可能性があるのは自動車業界だ。電気自動車(EV)が普及すればバッテリーやモーターなどの部品需要が大幅に伸び、日本電産パナソニック、それらの部品の材料を作る素材メーカーなどが恩恵を受ける。

  バイデン氏は大統領選での公約で、気候変動を米国と世界が直面する「最も深刻な課題」と指摘。就任から4年間で総額2兆ドル(約206兆円)を投じてインフラから自動車、電力、建設、住宅、農業まで幅広い分野で抜本的な対策を採っていくとした。

  全米の都市で自転車通勤を含む二酸化炭素(CO2)を排出しない通勤手段の整備についても掲げており、変速機など自転車部品で世界的な高シェアを持つシマノにも良い及ぶ可能性がある。

  ブルームバーグのデータによると、米大統領選後の昨年11月4日以降、東証1部33業種の上昇率は非鉄金属、海運、電機、鉱業などが上位で、財政支出を期待した景気敏感セクターが目立つ。下位を占めるのは新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受ける空運のほか、水産・農林、倉庫・運輸、食料品など。

半導体、電子部品、ソフトウエア

  楽天証券経済研究所の今中能夫チーフアナリストは、バイデン氏の環境問題の関心の高さに着目。モーター、半導体や電子部品、ソフトウエアで構成されるEVの普及が広がれば村田製作所TDKなどにも恩恵が出てくるとの見方を示した。

  一方、トヨタ自動車ホンダなど「日本の自動車メーカーはEV対応が遅れた」ため、マイナスの影響を受ける可能性を指摘した。特にトヨタはガソリン車の比率が高く、系列と呼ばれる下請けの部品メーカーの取り扱いも課題になってくると述べた。

  トランプ前大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げ、外国との貿易是正に力を入れた。特に中国に対しては関税を強化し、第5世代通信規格(5G)で高い技術を持つ華為技術(ファーウェイ)に制裁を加えるなど厳しい姿勢で臨んだ。

  バイデン大統領の今後の対中姿勢は不明だが、米中間の緊張が緩和されれば、メリットとなりそうな企業もある。その代表格が人工知能(AI)などの技術力を持つ中国企業に対して積極的に投資を進めてきたソフトバンクグループだ。

迷走の可能性も

  M&Aアドバイザリー業務を手掛けるカチタスの平井宏治社長は、「トランプ政権からバイデン政権に代わったことはソフトバンクにとって追い風だ。米政府の目を気にせずに巨大な中国市場でビジネスを進めることができ、中国企業への出資は増えるだろう」との見通しを示した。

  同氏はハイテク、半導体、AIなどの日本企業の動向に注目していると述べた一方で、「バイデン氏は中国に融和的だが、国民の感情はコロナや軍事力拡張などもあり中国に優しくないため、急激な融和策は世論が許さず、ジレンマに陥り迷走する可能性がある」とも指摘した。

  丸紅経済研究所の今村卓所長(丸紅執行役員)は、5Gの開発に関しては軍事的な側面から米国と中国が協力することはできなくなり、米中に二極化していくと予想。日本企業ではNECNTTにも今後チャンスが広がると述べた。

  今村所長は足元の米国経済の回復は力強く、コロナの感染拡大収束にめどがつけば国内総生産(GDP)成長率が大幅に上昇修正される可能性もあるとし、内需の回復は米国での牛肉や穀物など、食料関連の事業を手掛ける商社にとってメリットがあるとみている。

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