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ウォール街の大手投資銀行、報酬出し渋る-1人当たり収入増でも

  • ゴールドマンは従業員1人当たり収入が15%増-平均報酬は2%増
  • 最近の決算発表からは、融資などの分野への打撃が浮き彫りに

ゴールドマン・サックス・グループでは昨年、従業員1人当たりの収入が15%増えた。しかし、殺到する顧客注文を在宅勤務中心でこなした1人当たりの平均報酬は2%しか増えなかった。

  JPモルガン・チェースの投資銀行部門では、従業員1人当たりの収入は22%急増したが、報酬は1%増だった。

  新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が痛みと格差を広げている中で、大きな収益を上げた従業員にどう報いるかに、投資銀行業界はここ数カ月頭を悩ませてきた。答えは「あまり気前よくするな」だった。投資銀行の報酬について明らかにする大手行は少ないが、公表した銀行は驚くほどの自制を見せている。大手行では投資銀業務以外を含めた銀行事業全体についても同様の傾向が示唆された。

  それも当然だ。最近の決算発表からは、2020年の波乱で融資など他の業務分野が打撃を受けたことが浮き彫りになった。投資銀行の好調にもかかわらず、大手6米銀の全体の合計収入は前年からほぼ横ばい。6行の平均で、従業員1人当たりの報酬増加幅はわずか271ドル(約2万8000円)だった。

  この記事の1人当たり報酬は2020年末の従業員数に基づいて計算した。数字は平均であり、貢献度の高いバンカーが数百万ドルのボーナスを得るケースなどを反映したものとはいえない。

  しかし、一部の銀行が巨額の収入をもたらした投資銀行部門の従業員の報酬を抑制しようとしている兆候は、数週間前からあった。得られた収入と報酬が総じて連動していた長年の慣習が変化した。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)の幹部らは昨年11月後半までには、セールス・トレーディング担当者のボーナス原資を前年並みにとどめる案を話し合っていた。12月までには、シティグループが株式トレーダーは横ばい、債券トレーダーは少なくとも10%増とする方針を固めた。ゴールドマンとJPモルガンはもう少し気前よく20%近い増加を検討していたが、個々のバンカーによって受取額は大きく変わると考えていた。

  結局、今週決算が発表されるとゴールドマンは昨年、収入のうち報酬に充てる割合を30%と、その前の3年間の34%程度以上から引き下げたことが分かった。JPモルガンの法人・投資銀行部門では24%と、その前の3年間の28%から低下。モルガン・スタンレーも2ポイント低下させていた。

  ゴールドマンの広報担当者にコメントを求めると、スティーブン・シェール最高財務責任者(CFO)の発言を示された。

  同CFOは19日の決算発表後の電話会見で、「パフォーマンスに応じた報酬を支払うという当社の哲学は変わらない。最優秀の人材に報いることにコミットしている」と述べたが、「通期の報酬比率は過去最低だった」とも述べた。

  JPモルガンの広報担当はコメントを控えた。

  ウォール街の収入の伸びと報酬の伸びが前回これほど乖離(かいり)したのは前年の金融危機から業績が回復した2009年で、銀行業界の報酬慣行に対する批判がやや弱まってきた時期だった。以来、銀行に厳しい目を注ぐ人たちは常に、そのボーナスの傾向に目を光らせている。

  バイデン大統領は証券取引委員会(SEC)委員長にゲーリー・ゲンスラー氏、消費者金融保護局(CFPB)局長にロヒト・チョプラ氏を起用。ウォール街規制の鍵を握るこの顔ぶれを見ると、業界への監視と規制は強まりそうだ。

原題:Wall Street Gets Frugal With Employees After Pandemic Windfall(抜粋)

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