バイデン氏、第46代米大統領に就任-演説で「結束」呼び掛け
Justin Sink、Jennifer Epstein-
「歴史と希望、再生と決意の日だ」-就任演説でバイデン氏
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就任後直ちにトランプ政権下での政策の巻き戻しに着手へ

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米国の第46代大統領にジョセフ・ロビネット・バイデン・ジュニア氏が20日、就任した。多数の死者を出している新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)や長引く失業、急速に高まりつつある社会不安といった困難に見舞われる中、近年の米国史で最も険悪となった政権移行を乗り越えて国家を主導することになる。
バイデン氏は同日正午(日本時間21日午前2時)少し前、連邦議会議事堂前でロバーツ連邦最高裁長官を前に大統領の就任宣誓を行った。ちょうど2週間前、大勢のトランプ前大統領支持者がバイデン氏の大統領認定を阻止しようと集まった場所だ。

就任演説するバイデン大統領
78歳のバイデン氏は歴代大統領で最高齢での就任となった。
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バイデン大統領は就任演説の冒頭で「きょうは米国の日であり、民主主義の日だ」と発言。さらに「歴史と希望、再生と決意の日だ。米国は新たに試され、困難に立ち向かっている」と明言した。
バイデン氏の大統領就任は、有権者が前任者と正反対といえる人物に国政を託したことを意味する。一度も公職に就いたことのなかったトランプ氏による混乱の4年間を経て、今度はデラウェア州選出の上院議員として36年間、オバマ元大統領政権での副大統領として8年間と計40年余りワシントンでの経験を持つ人物が選ばれた。
演説でバイデン大統領は、選挙結果を覆そうとしたトランプ氏の動きに言及し、「民主主義は貴重であり、もろいということを、われわれはあらためて学んだ」と指摘。「きょうこの日、民主主義が勝利した」と言明した。

連邦議会議事堂前を警備する州兵
バイデン氏は女性が参政権を求め、そうした運動がこの日カマラ・ハリス氏の米国初の女性副大統領就任に至った経緯にも触れ、「物事は変えられないという話は私には通用しない」と述べた。ハリス氏は黒人として、またインド系米国人としても米国初の副大統領。
さらに、「赤(共和党)と青(民主党)、地方と都市、保守とリベラルの間で繰り広げられる無意味な争いを終わらせなければならない」と語るなど、約20分の演説は大統領選での訴えと同様に国民の結束を強く呼び掛ける内容となった。

就任宣誓したハリス副大統領
Photographer: Saul Loeb/AFP/Bloomberg
バイデン氏の演説はミット・ロムニー上院議員ら一部の共和党議員からも称賛された。トランプ氏を批判してきた同議員は、与野党50議席ずつで勢力が拮抗(きっこう)する上院でキャスチングボートを握る存在になるとみられる。
民主党のクロブシャー上院議員と共に大統領就任式を取り仕切った共和党のブラント上院議員は「われわれがここで何をするか、世界中の人々が見ており、見ることになる。今は分断ではなく、結束の時だ」と語った。
試される結束
バイデン氏の結束の呼び掛けは、閣僚候補の指名承認や新型コロナ禍に対応する追加経済対策案を巡る交渉など一連の試練に早速直面することになる。
新型コロナ感染症(COVID19)による米国の死者は40万人を超えており、多くの地域では感染率が上昇している。バイデン氏は演説中、「大統領としての最初の行動」として新型コロナ犠牲者に黙とうをささげた。
バイデン氏はまた、就任後直ちにトランプ前政権下での移民や気候問題などに関する政策の巻き戻しに着手する。演説では「危険と大きなチャンスに満ちたこの冬、われわれにはやるべきことが多くある。スピードと緊急性をもって前に進む」と述べた。
しかし、バイデン氏は共和党との溝を埋めるだけでなく、同氏の中道的傾向で構造改革の機会が失われると懸念する民主党内の進歩派にも配慮した政権運営が求められることになる。

就任宣誓するバイデン氏
Source: Bloomberg)
原題:Biden Sworn In Amid Historic Challenges: ‘This Is America’s Day’、Biden Opens His Era With Plea to End ‘Uncivil War’ Left by Trump(抜粋)