バルミューダ株連騰、東証3位の大商いーテーマ性と好需給で人気
長谷川敏郎-
20日の売買代金は624億円、国内市場でソフトBGと任天堂に次ぐ
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直近IPO人気は東証1部高値警戒感の裏返し-いちよしアセット
昨年12月に新規株式公開(IPO)した高級生活家電メーカーのバルミューダ株がにぎわっている。テーマ性と好需給を手掛かりに株価は上値追いの展開となり、人気の集中ぶりが目立つ。

Photographer: Akio Kon: Bloomberg
20日の東京株式市場で株価は一時12%高の9290円と連日の大幅高となり、昨年12月16日に上場した後の高値を更新した。終値は9.9%高の9130円で、売買代金は約624億円と時価総額の9割弱に相当する大商い。日本株市場全体でもソフトバンクグループ、任天堂に次ぐ3位となった。
あすなろ投資顧問の藤井勝行シニアマーケットアナリストは、「ニッチ製品で一般の知名度が高い上、コロナで外出する機会が減った分の浮いたお金で消費者が少し高い調理家電などを買う巣ごもり需要の恩恵を受けている」と指摘する。
株価の連騰について藤井氏は、テーマ性に加えて「株価が上昇しても売り圧力が相対的に少ないという需給の良さから一極集中とも言える人気になっている」と分析する。昨年12月に相次いだIPO銘柄の中で公開時の調達額が多過ぎず、株主上位にベンチャーキャピタルもなく不安材料が乏しいというわけだ。
マザーズ市場に昨年12月16日上場した同社株の初値は3150円と、公開価格の1930円を63%上回る好調なスタートを切った。上場後も大きな下落局面はなく、きょうは公開価格比4.8倍、初値比2.9倍となる上場来高値を付けた。

相場全体を見渡すと、20日の主要株価指数は上昇して始まった後に失速。売り優勢のまま取引を終了した。いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員はバルミューダ人気の背景について、「東証1部は高値警戒感から調整ムードにある。投資家は手あかのついていない材料株を物色しており、その一形態が直近IPO銘柄の見直し買いに向かっている」とみていた。