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実質金利の優位性で円高加速か、日米格差が過去9年で最大の広がり

  • 日本の政策が物価低下圧力、デフレリスク高まる
  • 日銀が金利下げる意図がないため実質金利も下がらず-野村証

国内実質金利が上昇しており、円高進行を加速させるとの見方が出ている。名目金利からインフレ期待を減じた実質金利はデフレ懸念の高まりを受けて上昇傾向にあり、ドル・円相場と相関がある日米の実質金利差が過去9年で最大の広がりとなっている。

  実質金利を示すとされるインフレ連動債利回りは日本が米国を上回る状態で、5年物の利回り格差は2012年以来の水準まで拡大。日本とは逆に、インフレ期待が高まっている米国では低下している。

  JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は「日本の実質金利が高く、デフレ基調の中で上昇している」と指摘。実質金利差で日本の優位性が高まっていることが重要なポイントとした上で「最終的に円高になる可能性がある」とみている。

実質金利差拡大が円高圧力に

  日本の生鮮食品を除く消費者物価指数は昨年4月以降マイナスかゼロ付近でとどまり、インフレ期待を示す5年物のブレークイーブン・インフレ率(BEI)は足元マイナス0.1%台で推移。佐々木氏は「デフレは円の均衡為替レートをますます強く押し上げる」と指摘した。一方、米国のBEIはバイデン次期大統領下でのさらなるリフレ政策期待から2.1%台となっている。

  この先もインフレ期待を後退させる政府の政策などから日本の実質金利は上がりやすい状況にある。菅義偉首相の政策優先事項では、新型コロナウイルス感染拡大に伴うGoToキャンペーンや携帯電話料金の引き下げなどが物価下落圧力を強めている。野村証券の中島武信チーフ金利ストラテジストは「日本はBEIが上がっていないため、実質金利が下がりにくい」とみる。

  円高のペースが加速した場合、日本にとってそのトレンドを逆転させる選択肢は少ない。世界的な合意を得られない限り為替介入のハードルは高く、政策の焦点については目下、金融緩和よりも財政支出に向かっている。

  日銀では3月金融政策決定会合で政策の点検を実施する予定。ただ、黒田東彦総裁は、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)やマイナス0.1%の政策金利といった基本的な政策の枠組みを変更しないとしている。

  野村証の中島氏は「イールドカーブ・コントロールの目的は、10年の名目金利をゼロにするということ。日銀が金利を押し下げる意図がないため、名目金利があまり下がらず実質金利も下がらない」と指摘したうえで、日銀の施策で「為替に影響を与えるとすれば、マイナス金利深堀りを示唆する方が有効だろう」との見方を示した。

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