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菅政権の行方に黄信号、コロナ禍で支持率急落-きょう施政方針演説

  • 緊急事態宣言を巡る対応が迷走、政治とカネのスキャンダルも続く
  • 選挙の顔に「人気ある人を総裁にする動きの可能性」-東大・内山氏

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菅義偉内閣の支持率が急落し、政権の行方に黄色信号がともっている。回復には新型コロナウイルスの感染拡大を食い止める必要があるが、強力な打開策に欠けるのが現状だ。菅首相は18日召集の通常国会で初の施政方針演説に臨む。

Japan Prime Minister Yoshihide Suga Declares State of Emergency

菅義偉首相

  13日の記者会見で、飲食店への営業時短要請や水際対策強化など「あらゆる手段を尽くして取り組む」と述べた菅首相。ただ緊急事態宣言を巡る対応は迷走した。

  昨年12月25日の記者会見では、「宣言なしで国民の行動変容は可能だ」として慎重な姿勢を示していたが、年が明けると1都3県知事の要請を受けて一転して発令を表明。大阪府などの追加に関しても7日時点は「そうした状況にはない」としていたが、再び知事から求められ1週間足らずで追加指定した。

  政府の対応には自民党内からも厳しい声が上がっている。13日の衆院議院運営委員会では、盛山正仁氏が緊急事態宣言について、知事からの要請を受ける形ではなく、政府が「先手先手で判断すべきだったのではないか」とただした。佐藤正久外交部会長はツイッターで、政府の水際対策には「漏れ」があるとして、さらなる対策強化を求めている。

内閣支持率

出所:NHK

  菅首相は、安倍晋三前首相の辞任を受けた昨年9月の総裁選で圧勝。携帯電話料金の引き下げやデジタル化推進など規制改革を打ち出し、政権発足直後の支持率は6-7割に達し、安定的な政権運営への期待も高まった。

  しかし、その後のコロナ感染拡大で政府対応への不満の声が高まり、NHKが9-11日に行った世論調査では、支持率は40%に下落。政権発足以降初めて不支持が支持を上回った。毎日新聞と社会調査研究センターが16日に実施した調査では支持率は33%と12月より7ポイント下落、不支持率は57%(前回49%)だった。 

  日本大学の岩井奉信教授(政治学)は、菅政権の支持率は「黄色信号水準に入ってきている」と指摘する。政権の安全運転を考え、「経済などいろいろと気配りし過ぎていて、危機管理ができていない」とした上で、よほどの起死回生策がない限りは、支持率上昇は考えにくいとの見方だ。

  「政治とカネ」のスキャンダルも続く。安倍前首相の「桜を見る会」前日の夕食会問題では、12月に安倍氏の秘書が政治資金規正法違反罪で略式起訴され、菅首相も官房長官時代の答弁を謝罪した。同月には鶏卵業者からの現金授受疑惑が浮上した吉川貴盛元農水相が議員辞職。吉川氏は総裁選で菅首相の選対本部の事務局長を務めており、刑事責任を問われることになれば政権へのさらなる打撃となる。 

  政権の安定には首相を強力に補佐する人材の存在が不可欠だ。菅首相自身も官房長官時代は歴代最長となった安倍政権で省庁間の調整や与党への根回しにらつ腕を振るった。安倍前首相は辞任前の昨年、月刊誌のインタビューで「菅首相には菅官房長官がいないという問題がある」と話していた。

主な政治日程

1月18日 通常国会召集

4月25日 衆院北海道2区、参院長野選挙区の補欠選挙

7月22日  東京都議 任期満了

7-9月 東京五輪・パラリンピック

9月30日 自民総裁 任期満了

10月21日 衆院議員 任期満了

  今年は夏に東京五輪・パラリンピックが控えるほか、4月の衆参両院補選、9月の自民党総裁選、10月までの衆院解散・総選挙など重要な政治日程が続く。 

  東京大学大学院の内山融教授は、菅首相が今夏の開催に意欲を示している東京五輪が中止なら、「政権は相当危ない」との認識を示す。衆院選で党総裁は「選挙の顔」となるため、支持率が上昇しなければ「もっと人気のある人を総裁にしようという動きが出てくる可能性が高い」という。

  内山氏は、次の総裁候補として、加藤勝信官房長官、西村康稔経済再生担当相、河野太郎行政改革担当相、岸田文雄元外相を挙げた。

  一方、日大の岩井氏は、自民党内で衆目の一致する「ポスト菅」の首相候補はいないと話す。野党の支持率は低迷したままで次の衆院選で敗北するとの危機感は与党内では薄く、安倍前首相の再登板を求める声が残ることは国民にとって「不幸なことだ」とも語った。

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