香港から今年3兆7500億円流出も、英国への市民移住で-BofA
John Cheng-
英国に移り住む香港市民が25年末までに32万1600人に達する可能性
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移住だけで香港ドルを許容変動幅下限に押し下げるには十分ではない
中国による香港国家安全維持法(国安法)導入を嫌い香港市民が英国に移り住むことで、香港は今年、2800億香港ドル(約3兆7500億円)の資本流出に見舞われる可能性がある。バンク・オブ・アメリカ(BofA)が最近のリポートで指摘した。
香港の旧宗主国である英国は、香港全住民の3分の2余りが英国の市民権取得を目指す資格があるとしており、今月末に申請が正式に始まる。
BofAのストラテジスト、チュン・ヒム・チャン氏は英政府の推計に基づき、2021年に香港から15万3300人が英国に移住する可能性があると分析。こうした人々が自宅を730万香港ドルで売却し、年金貯蓄を引き出すと、香港からの流出額は2800億香港ドルに達し得ると試算した。これは香港への20年の純流入の半分に相当するという。英国に移り住む香港市民が25年末までに32万1600人に達する可能性にも言及した。
香港の九竜地区での住宅(500平方フィート=約46.5平方メートル)の平均コストが730万香港ドルとなる。

こうした資本流出を受け、米ドルとのペッグ(連動)制を採用している香港ドル相場は、許容変動幅の上限である1米ドル=7.75香港ドルを大きく下回る水準で推移する公算が大きい。ただ、移住はそれだけで香港ドルを下限の7.85香港ドルにまで押し下げるには十分でないだろうとリポートは指摘。過去の大規模な香港脱出の例から見て香港の通貨体制にシステミックイベントをもたらすきっかけとなる可能性は低いとしている。
原題:Hong Kong Exodus Could Spur $36 Billion in Outflows, BofA Says(抜粋)
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