, コンテンツにスキップする

寺院も社会貢献債、裾野広がる国内ESG投資市場

  • 寺院や神社のESG投資への関心が高まっている-野村証の塚嵜氏
  • 2020年の日本勢によるESG債発行額は過去最高、前年から68%増加

ESG(環境・社会・企業統治)投資は日本でも人気が高まっている。東京都台東区にある徳雲院も新たな投資家の1人だ。

  徳雲院で代表役員を務める山本猷山・住職は、寺院では今後数十年にわたり建物の修理やメンテナンスが必要で、資金確保のために東京大学が公募した40年社会貢献債を購入したと話す。山本氏は「定期預金でも利息がほとんど得られない中で、物価の上昇分を回収できれば十分と考えている。どうせならば社会貢献の一助になる方がよい」と語った。

  徳雲院は例外ではない。野村証券金融公共公益法人部の塚嵜智志氏によると、ここ1、2年でESG投資を検討する寺院や神社が増えている。世界的に関心が高まる中、2020年の日本の発行体によるESG債の発行総額は前年から68%増加し、過去最高の約210億ドル(2兆1800億円)になった。

ESG債発行総額の推移

国内勢の発行が近年急増

ブルームバーグデータ

ESG債は環境債、社会貢献債、サステナビリティー債

  宗教法人がESG関連プロジェクトに参加する事例は海外でもある。バチカン市国は昨年12月、「より公平で持続可能な経済システム」の構築を目指す団体に幹部としての参加を発表した。この団体幹部には米銀バンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)や、CRM(顧客管理)ソフトウエアの米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフCEOなどが名を連ねる。

  日本の宗教法人の資金運用ニーズは高まっている。人口の減少に伴い運営費などを担う信者の数が減ったことが背景にある。日本政府のデータによると、19年までの10年間で宗教法人の会員数は約12%減少した。

  新型コロナウイルスの感染拡大も影響している。国内には約16万の神社や寺院があり、例年、年初は初詣でにぎわうが、今年は外出自粛でさい銭などの収入源となる参拝客の出足は鈍かった。

  こうした環境の変化が、預貯金や国債などの保守的な投資を続けていた寺院や神社に、資金管理方法の見直しを促している面もある。

  野村証の塚嵜氏は、宗教法人は金利などのさまざまなリスクを取り始めたと指摘し、ESG投資は浄財の使い方として信者の思いも含めて適しているとの考えを示した。

原題:
Monks Snap Up ESG Debt in Japan as Sustainable Investing Booms(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE