安川電株が3年ぶりの高値、今期営業益を上方修正し一転増益に
古川有希-
一時前日比4.6%高の5670円を付け、2018年2月2日以来の日中高値
-
中国や欧州市場での需要伸長、コスト削減も評価-アナリスト
安川電機株が約3年ぶりの高値。中国市場に加え、欧州などでも工場自動化向け需要の回復が鮮明になり、12日に今期(2021年2月期)の営業利益予想を上方修正したことを評価した買いが優勢となっている。
株価は一時前日比4.6%高の5670円となり、2018年2月2日以来の日中高値を付けた。安川電は今期の営業利益予想を従来予想比22%増の272億円に増額した。ブルームバーグが集計した市場予想252億円を上回る。コスト削減も奏功し、前期比では減益の見込みが一転、12%の増益となる。
SMBC日興証券の大内卓アナリストは12日付のリポートで、9-11月期の受注高は欧州の回復が大きく、中国も前四半期よりさらに伸長していると指摘。中国ではエネルギー関連投資の堅調に加え、スマートフォンの新モデル向けの投資も期待され、春節明けも堅調な事業環境が継続するとみている。
ジェフリーズ証券の福原捷アナリストは、上方修正の要因ともなった9-11月期の営業利益について、売り上げ拡大やコスト削減で予想を上回り「印象はポジティブ」と評価。目標株価を5000円から6300円に引き上げた。
2021年2月期の業績予想 |
---|
|
12日の発表によると、セグメント別の営業利益予想はACサーボモーターなどモーションコントロール事業が従来予想比18%増の245億円。中国のインフラ関連や世界の半導体・電子部品向け需要が想定を上回って回復した。ロボット事業も中国の自動車市場の回復などを背景に同31%増の68億円と見込む。
20年9-11月期の営業利益は前年同期比56%増の68億円だった。受注はアジアや欧州向けも回復し、前期比ベースで6四半期ぶりにプラスに転じた。

安川電機の産業用ロボット
安川電は工場設備向けACサーボやロボットを手掛けており、自動車や半導体、スマートフォンメーカーなど幅広い顧客を抱える。決算発表が主な製造業より約1カ月早く、先行指標と位置付けられる。