米民主党、トランプ氏の弾劾決議案提出-罷免なければ13日採決へ
Billy House、Steven Dennis-
憲法修正25条を発動して罷免を求める決議案は共和党議員が阻止
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ペロシ下院議長はトランプ氏再出馬を事前に阻む動きにも言及
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米下院民主党は11日、トランプ大統領に対する2度目の弾劾決議案を提出した。ペンス副大統領が憲法上の権限を行使してトランプ氏を罷免しない場合、今週中に採決を行う。
デービッド・シシリン議員らが起草した弾劾決議案は、暴徒による6日の連邦議会議事堂乱入を扇動したとしてトランプ氏を非難し、大統領の地位から排除するとともに将来の大統領職復帰を阻止する狙いがある。民主党が主導権を握る下院では過半数の議員が署名した。
ホイヤー民主党下院院内総務は電話会議で同党議員に対し、下院で13日に弾劾決議案の採決を行う方針を伝えた。
シシリン議員はこの日、同決議案の可決に向け、一部の共和党議員を含む十分な支持を得ていると述べた。

米下院民主党は11日、トランプ大統領に対する2度目の弾劾決議案を提出
Markets: European Close.” (Source: Bloomberg)
4ページからなる決議案は、トランプ氏が「反乱の扇動」という重大な罪および軽罪を犯したと指摘。「トランプ大統領は米国と政府機関の安全を著しく脅かした」と非難している。
ホイヤー氏は、米国憲法修正25条を発動してトランプ氏を罷免するようペンス氏と閣僚に求める決議案への全議員の賛同を求めたが、共和党議員がこれを阻止した。下院議員は12日に行われる同決議案の点呼投票のため首都ワシントンに呼び戻されている。

ホイヤー民主党下院院内総務
ペロシ下院議長は、ペンス氏が24時間以内に対応しない場合、下院が弾劾決議案の採決に進むと述べた。ペンス氏はこれまで、トランプ氏を罷免するために閣僚を招集する可能性を非公式に否定している。
一部の民主党議員はペロシ氏に対し、下院がトランプ氏の弾劾決議案を可決しても、上院での弾劾裁判がバイデン政権の発足直後の政策課題を妨げないよう上院への送付を遅らせるよう求めている。
上院は休会中であり、全上院議員の賛同がない限り、弾劾裁判は1月20日まで始まらない可能性がある。また裁判が始まれば、上院は他の政策課題を審議できなくなるかもしれない。
民主党のシューマー上院院内総務は、弾劾裁判のための上院緊急招集の可能性を模索していると、側近2人が明らかにした。
ただ、19日より前に上院議員を呼び戻すためには、少なくともバイデン次期大統領の就任式が行われる20日までは多数派リーダーであるマコネル共和党上院院内総務の支持が必要となる。マコネル氏はこれまで、大統領弾劾や裁判迅速化を支持するかどうか明らかにしていない。
バイデン氏は慎重に振る舞っている。同氏はこの日、議事堂乱入を扇動したトランプ大統領は政権の座にとどまるべきではないと述べた上で、新政権の優先順位はトランプ氏の弾劾ではなく景気刺激策の議会通過と成立にあると述べた。
ペロシ氏はこのほか、トランプ氏による再出馬を事前に阻止する動きとして、米国に対する暴動に加わるか、それに支援・便宜を与えた政府当局者が再び連邦政府や各州の官職に就くことを禁じた米国憲法修正14条3項にも言及している。南北戦争後に成立したこの条項に基づく決議案の場合、弾劾裁判での有罪判決とは違って上院の可決に3分の2の賛成票が必要とされない可能性があり、長期の裁判を回避することにもなる。
原題:Democrats to Open Trump Impeachment Wednesday Unless Pence Acts、Schumer Exploring Emergency Session for Senate Impeachment Trial、How Democrats Will Move on Impeaching Trump in His Last Week (1)(抜粋)